スターとバレー馬鹿【木兎光太郎】 (ページ1)

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キュ、キュッ

体育館に響くバレーシューズの音。

喧騒は聞こえているけど、今は届かず。

ただ、ボールが落ちないために、

がむしゃらに追い掛ける。

「キク！フォロー！」

「…っ！！ラァスト！！！」

自分の繋いだボールが、ドパン！！！と大きな音をたてて相手コートに決まる。

「きまっ…きまった……！！！」

うわぁぁぁ！！と歓声が上がって、

ピー！と大きな笛の音。

今、誰がなんと言おうと

「やった！！！優勝だ！！！！」

…私たちが、世界の主役。

・

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・

『菊井はいずれ日本代表に選ばれるだろうなぁ』

『そらそうだろ！あんだけ拾えるリベロなかなかいねぇよ』

ふんふーん、と鼻歌を歌って、俺はなんとも上機嫌！である！

1個下の幼馴染が、中学バレーの全国優勝を決めた。

きっとベストリベロ賞もAだろうし！

小さな頃から、一緒にバレーをやってきた身としてはこの上なくウレシイ！

遠くの方から、試合を終えた選手達が出てくるのを見つける。

A、Aはいるかなぁ？

背の高い選手たちに混じる、小さくてぴょこぴょこした動き。

あれだ！

兎「Aー！！おめでとー！！！！」

「光ちゃん！！応援来てくれてありがとう！！」

兎「モチロン！！凄かったなぁ！最後のレシーブ！！」

「へへ〜！」

150cmに満たない低身長で、

すばしっこくコート内を駆け巡るAは、圧巻だった。

俺は勢い余って抱っこして、幼い頃のように高い高いをする。

「ねぇ光ちゃん！」

兎「ん！なんだ！」

「私光ちゃんがすき！！付き合って！！！」

兎「！！！！俺も！！！好き！！！」

今思えば、この日はAらしくなかったし、

やたらテンションが高くて、

多分試合後の疲れでハイになってたんだと思う。

でも嬉しくて、楽しくて、

俺はきっと、この日を一生忘れない！

8月の末。

全中バレーの、大会後の出来事だった。