俺はただの私服警察官です。

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グラウンドに出て距離を取る。
審判はパンダくんがしてくれるらしく、彼の声で始まるのだ。


「両者構え！」


突っ立っている俺に対して真希さんは薙刀のような呪具を構える。
眉間が動いたのが微かに見えた。


「始め！」

「うぉっ…！！」


パンダくんがそう言うと同時に駆けて来る。早い。
鮮やかに振われる呪具を何とか避けていると舌打ちが聞こえた。女子怖い。

良いって言ってもこっちの奴らが何て言うんかわからんから怖い！一般ではないけど一般人っちゃあ一般人だし…


「！！」


一瞬だが黒いモヤが見えて俺は目を見開いた。まさか怪異が発生したのか…？
しかし今は試合中。氷室さんより上手くないから正直当てられるかはわからんけどやるしかない。

俺はホルダーから銃を取り出し構える。当然だが真希さんは警戒し呪具で銃を跳ね除けようとした。


「真希さんごめん！」


俺はそう言って引き金を引く。二発の銃声がグラウンドに木霊した。

怪異は見事撃ち抜かれ姿を消した。

同時に真希さんはスイッチが切れた玩具のように倒れた。


「真希！！」


俺以外は真希さんに駆け寄り、体を持ち上げる。そしてこちらをキッと睨んだ。


「そう睨むなよ。俺が“正しい手順”で“正しい使い方”をしたから人間には無害のはずだ。」


撃ち抜かれた衝撃は残るけどな、と告げると真希さんは呻き声を上げながらゆっくり目を開いた。

ほら、大丈夫じゃんか。


「真希さん、びっくりさせてごめんな。」

「…いや。大丈夫だ。」


自分と俺の名前、今何をしていたかを問うたがスラスラと答えたので異常はないと見られる。


「一応でこ見して。」

「ん。」


さらりと前髪を上げる。俺にしか見えない撃ち抜かれた跡が見えるが、撫でると消えた。

これで確信した。害は皆無だ。


「何も異常は無かったよ。」

「そうか、ありがとうな。」


勝負の結果はどうでも良くて、真希さんが無事なら良かったということに。

それからは真希さんに呪具の使い方を教えてもらえるようになった。



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