俺はただの私服警察官です。

9 ページ13

・



二年生の教室へと向かうと、そこには男の子と女の子。そしてパンダがいた。

…パンダだ。いやまあパンダだけど喋ってる。


「転校生の東Aくんでーす！」

「ちげぇよ。」


五条さんの脇腹を肘で突く。冗談だってば、と笑う彼を横目に俺は二年生達へ向き合った。


「菊川警察署から来た東だ。今日から調査でここに通うことになったが、生徒に手を出したり依頼に首を突っ込んだりは仕事上しないから安心してくれ。」


そう告げて軽く会釈をした。何だか違和感を感じて頭を上げると冷たい視線が刺さった。

まあこういうところは公には知らされないし、ましてやただの警察官に調査されるもんな。そりゃどこの馬の骨だってなるわ。


「えーっと…東さん？だったか？」

「あぁ。」

「俺はパンダ。こいつは狗巻棘って言って、語彙がおにぎりの具しかない。そんでこいつが禪院真希。めちゃくちゃ呪具の扱いが上手いんだ…あっ、名前で呼んでやってくれ。」


おうおう、急に来たな自己紹介。しかも個性の塊でしかないな本当に…いやうち(特務課)もそうか。
パンダくんに狗巻くんに真希さん、覚えた。にしても初手タメ語は強い。


「ありがとう、パンダくん。」

「ツナ！」


パンダくんに言ったはずだが狗巻くんが返事をしてしまったしツナがどういう意味なのかがわからん。全くもってわからん。

すると狗巻くんはわざわざスマホを使って文字を打ち、俺に見せてくれた。

よろしく、の四文字。これを伝えるだけでもおにぎりの具で表すのは難しいだろうな…
小暮が何も言わずに詰め寄ってきた時ぐらい難しい。


「こちらこそ、よろしく狗巻くん。」

「しゃけ！」


犬のような懐っこさを感じた(小並感)
よしよしってしたいけどさすがに失礼だよなぁうん。

自己完結していると真希さんが俺に近づいた。


「…で、お前呪力あんのか？」

「無いよ。」

「ふーん…じゃあ私と戦ってみろ。」

「武器あり？」

「当然だ。」


いやぁ急に来たよね。正直人と戦うの好きじゃないんだけど…
はいかYESしか言わざるを得ない状況すぎて躊躇う。


「東さん。真希は引きませんよ。」


まじかー…これは了承するしかないな。使いたく無いけどこれも使うしか無い。
五条さんもいいよと言ってしまっているため、渋々頷いた。


「よし。じゃあ表出ろ。」

「えっ今から？」


また当たり前だろ。という視線を向けられ真希さんに着いていく。

…あれ、二年生ってもう一人いなかったっけ。


・

10→←8

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す