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「ふぅ……それにしても……人が住み着いてしまったということはもうこの廃墟は廃墟ではない。残念だ。また次の夜の散歩用の廃墟を探さなくては」
「……もう来ないの?」
「ん?」
「人が住んでしまったら、あなたはもう二度とここには来ないの?」
何故、そんなことを訊いてしまったのかわからない。
だけど……何故だか、この風変わりで神様のようなヒトともう少し話したいと思えた。
青年は少しだけ私を見つめ、面白そうに微笑んだ。
「そうだな……すでにいないと思っていた虹の愛し子と出会えたのだ。気が向いたら、ここに足を運んでやろう。では、僕はこれで」
瞬間、青年は白い光と共に消える。
思わず寂しい風景を見渡すも、誰もいない。
冷たい風が強く吹き、あまりの寒さに身を震わせた私は急いで寮の中へ戻った。
No side
サバナクロー寮のレオナの部屋。
ソファでふんぞり返るレオナは、暗闇でもラギーが部屋に入ってくるのが見えた。
「レオナさん、お疲れ様ッス。お夜食持ってきたッスよ。ついでに一仕事こなしてきたッス」
「あぁ。お前は気が利くな、ラギー」
相変わらず美味そうな夜食を前に、レオナは上機嫌に言う。
「そりゃもう。レオナさんのためならお安い御用ッス」
「はっ、よく言うぜ。自分のためにやってんだろ、お前は」
「……やだなあレオナさん。オレたちのため、ッスよ。世界をひっくり返してやりたいのはみんな一緒ッス。
伝説の百獣の王と手を組んだハイエナだって、自分たちの境遇をひっくり返すために百獣の王に従った。オレも同じことしてるだけッスよ」
そう語るラギーの目は、レオナから見てもわかるくらいの本気が伝わる。
だが、こういう相手こそ今のレオナには必要な手駒だ。
「ふん。なら『狩り』は慎重にやれ。証拠は残すなよ」
「シシシッ!もちろん。獲物はひとかけらだって残さず片付けるのがハイエナのポリシーッスから。ところでレオナさん。次の獲物ッスけど、どの寮の誰にしましょうか?」
「そうだなァ。人の話をこそこそ立ち聞きしている狼なんてのはどうだ?」
「えっ?」
「いるんだろ、1年坊。そんなでけぇ耳して立ち聞きとは趣味が悪いぜ」
驚くラギーの横で言うレオナの言葉を証拠に、ドアから1人の少年が入ってくる。
そこにいたのは、サバナクローの寮服を着たジャックだった。
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ブロッサム(プロフ) - かしこまりました!ご報告ありがとうございます! (2020年12月17日 20時) (レス) id: d825f142fb (このIDを非表示/違反報告)
月葉(プロフ) - もし見落としなどありましたら申し訳ありません。特にメイデーア要素について記載していなければ、検討の程よろしくお願いいたします。しつこい連投失礼しました。 (2020年12月17日 19時) (レス) id: cb75c43f0e (このIDを非表示/違反報告)
月葉(プロフ) - 連投失礼します。今の状態ですと、そんな気は無くてもメイデーアを知っている人にとってはパクリのように感じてしまう方も居ると思います。一応こちらの方でも全章注意書きを確認させて頂きましたが、見当たらなかったので今回投稿させて頂きました。 (2020年12月17日 19時) (レス) id: cb75c43f0e (このIDを非表示/違反報告)
月葉(プロフ) - はじめまして、この章までですが読ませていただきました。私もメイデーア転生物語を読んでいます。コメントに『メイデーア要素が入ってますよね』という問に『そう』と答えていますが、良ければ注意書きに『メイデーア要素あり』といったことを書いて頂けると幸いです。 (2020年12月17日 19時) (レス) id: cb75c43f0e (このIDを非表示/違反報告)
ブロッサム(プロフ) - そうなんですよ!知ってる人にはわかるものなんですね! (2020年12月11日 18時) (レス) id: be455224a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ブロッサム | 作成日時:2020年11月19日 1時