【ツイステ】魔に愛された少女はねじれた世界を生きる35 (ページ41)

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EPISODE7-115 妄想ナンセンス！ページ41

No side

ヴ――ッ、ヴ――ッ。
スマホのバイブがうるさく揺れる。

「…………んん、っるさいなぁ……誰だよ」

反覚醒の状態でスマホを手に取ると、明るい声が聞こえてきた。

『あー、やっと出た。おーい、もう朝だよ』
「……あんた誰？」
『誰って……実の弟のこと忘れたの？僕だよ、オルト』
「……オルト？」

その名に反応して目を開けると、そこはイグニハイド寮の自室。
辺りを見渡し、イデアはベッドからのそりと起き上がる。

「ああ……なんだ、夢か」

そう言って、イデアは黙り込んだかと思うと、笑い出した。

「……ふっ……ひひ、イヒヒヒヒヒ！！！」
『ど、どうしたの？兄ちゃん』
「ネトゲでレア素材ドロップしまくったのも、推しのSSR3枚抜きしたのも……マッスル紅氏がネトゲ引退してないのも、入学式生身で出たのも、ぜ――――んぶ夢！0から100まで拙者の願望！！はい、オタクの妄想乙！！」
『え？え？何言ってんの？』
「はァ？『何言ってんの？』はこっちのセリフですわ」

苛立ちながらスマホの向こうにいるオルト――いや、偽物に向かってイデアは言う。
すべてを思い出した以上、今のイデアを阻むものなどない。

「僕の弟は、ロイヤルソードアカデミーなんていう胸がムカムカするほど陽キャ揃いのキラキラ学園になんか通ってない。
　SSR[前代未聞の問題児]揃いのナイトレイブンカレッジに、僕と入学したヒューマノイドのオルト。それから、暗くて陰気臭い『冥府』にいるファントムのオルト。僕の本当の弟は、そのふたりだけだ！」
『！！ま、待って、兄ちゃん！僕の話を聞いて！』

イデアの言葉に偽物は焦ったように言うが、もはや聞く耳を持つことなど不可能。

「あー、あー、あー。悪いんだけど。ゲームやアニメの年下キャラ以外に『お兄ちゃん』って呼ばれて喜ぶ趣味はないんだよ。ねえ、アンタ誰？誰がこんな悪趣味な夢を僕に見せてんの？
　幻覚魔法？それとも悪の組織の洗脳ヘッドセット？それにしたってシナリオにセンスがなさすぎ。『幸せな結末』が迎えられなくなったから勝手にリセット？余計なお世話もいいとこだ。
　それがどんな結末であれ……ハッピーエンドかどうかは僕が決める！！あとでカスタマーセンターにレシート並のお気持ち長文を送らせていただきますわ！じゃ！！」

一気にまくしたてたイデアは、偽物が何か言う前に電話を切った。