【ツイステ】魔に愛された少女はねじれた世界を生きる35 (ページ5)

今日:16 hit、昨日:32 hit、合計:4,715 hit

EPISODE7-98 非情ノーティス！ページ5

『揺籃の塔』で、ツノ太郎を抱きしめながら1人泣きじゃくるリリアさん。
それを見て、誰もが涙を浮かべて見ていた。

「……ずっと思っていた。なぜ親父殿の夢はこんなに辛いことばかりが起こるのだろうと。でも……ようやくわかった。きっとこれが“親父殿が一番幸せだった瞬間”なんだ。
　戦って、傷ついて、失って……たくさんの悲しみの先にしか、この幸せは訪れない。マレウス様がお生まれになった、この瞬間は……！」
「ううっ、ぐすっ……マレウス様のご誕生に、こんな経緯があったなんて。茨の谷の歴史書は何冊も読んだが、どれにも記されていなかった。お祖父様は何故、この素晴らしいお話を僕にしてくださらなかったのだ……？」
「………………まさか」

セベクの言葉に、私は顔を青ざめて息を呑む。
私の異変に2人が訝しんだ瞬間、どこからともなく“奴ら”が現れた。

『ヴァンルージュよ！よくぞ王子殿下の卵を孵化させた』
『奇跡じゃ！まさにおぬしは英雄ぞ！』
『……英、雄？』
『さあ、王子殿下と共に女王陛下のもとへ参るがよい』
『ウッ……！』

現れた元老院の言葉に、リリアさんは呆然とするもすぐに顔をしかめた。
その時、『揺籃の塔』の景色が歪んだ。

『…………違う、俺は……、わし、は……？ぐうっ……！』
『ヴァンルージュよ！貴様、よくもその手でお世継ぎに触れたな！』
『竜の卵に蝙蝠が魔力を注いで孵したなど……前代未聞の醜聞だ！』
『高潔なるドラコニア一族を汚した罪は重いぞ！』
「「「「！？」」」」

先ほどの賞賛が一変して、あの時と同じ罵声に変わる。
ああ、私の予想は正しかった！

あれだけ国のために奮闘したリリアさんを竜の都から追い出した連中が、あんな言葉をかけるわけがないとわかっていたのに！
この真実を、連中が記録に残さないのは当然のことなのに！