【ツイステ】魔に愛された少女はねじれた世界を生きる35 (ページ25)

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所長の言葉にオルトが問いかけると、彼は少しだけトーンを落とした声で言った。

「結果、あの魔法領域は、マレウス・ドラコニアが自発的に術を解除するか……術者本人が消滅しない限り、領域外部からの破壊は99.8％不可能なことがわかった」
「そ、そんな……！」
「あの領域の中では、世界の法則すらマレウスに捻じ曲げられてしまう。たとえ最高出力の魔導砲で界面を突破できたとしても、領域内に入った瞬間に無力化されるの。
　ケルベロス・ギアを10万体ほど用意して同時に突入できれば、もしかしたら勝てるかもしれないけど……」
「そ、それは……攻撃云々より驚きでマレウスさんを無力化できそうな気がする」
「いいアイデアでしょ？でもママがオートパイロット搭載のケルベロス・ギアを10万体完成させるより、広がり続けている領域が世界を追う方が先になっちゃう計算なのよねぇ～」

2人の話を聞いてオルトがショックを受けるも、所長はさらに話を続ける。

「他にも懸念がある。賢者の島で眠らされている人々の精神は、完全にマレウスが作り出した魔法領域に囚われている。そして解析の結果、彼らは全員『夢』を見ていることがわかった」
「夢……って、人間がレム睡眠状態のときに体験する幻覚現象のこと？」
「そう。そして魔法によって相手の精神にはたらきかけ、仮想現実(ゆめ)を現実だと錯覚させる……。
　その作用は、『ラケシス・システム』に類似しているわ。無理やり魔法領域を破壊すれば、そこに囚われている人々の精神が一緒に破壊される可能性がある」

2人の話を聞いて、オルトは解析し、そして思いついた解決策を口に出す。

「……なるほど。つまりあの魔法領域は、巨大なサーバーみたいなものか。ってことは……“マレウスさんを何らかの方法で説得し、領域を解除させ、囚われている人々を自ら解放させる”……しか解決策はないね」

オルトの出したその結果に、2人は重々しく頷くことしかできなかった。