【ツイステ】魔に愛された少女はねじれた世界を生きる35 (ページ15)

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「あ、危うく冥府に旅立つところだった……た、助かりましたぞオルト……」
「イデア先輩が言うと洒落にならないわね」

いや、本当に。

「おい、貴様ら。マレウス様がリリア様に“リソース”を割いているというのはどういう意味だ？」
「ああ、はいはい……その話ね。オルト、まとめて説明よろ」
『了解、兄さん』

そこはイデア先輩じゃないの？
いやまあ、別にどっちでもいいけど。

『まず最初に、どうして僕と兄さんがここを『夢の中だ』と認識できているか、だけど……賢者の島はリリアさんのお別れ会をした日に、マレウスさんの魔法によって眠らされた…………いや、時空ごと凍結された』
「時空ごと凍結……」

何それ。魔法の効果の範囲が異常すぎる。
チートもいいところだ。

『でも僕はギアからデータだけになって抜け出し、通信衛星経由で島の外に脱出することに成功したんだ』
「「「「通信衛星経由！？」」」」

なんて大規模な脱出方法！
確かに、それはオルトにしかできないわね。

「オメーそんなことまでできちまうのか？」
『ふふふ、僕の“個性”が役に立ったってわけ。僕は魔法士じゃないからユニーク魔法は習得できないけど……自分の意識と魂を電波に乗せて通信衛星経由で別ユニットに移すなんて、僕にしかできないことでしょう？』
「悔しいが……人間の機械文明というのは凄まじいな」
「ああ。どれだけ鍛錬を積んでも、オルトの使った技は俺たちには習得できない。まさにオルトだけの“個性”だな」
「ですね」

これがオルトの“個性”。
異端の天才が生み出した、最高峰の魔導ヒューマノイドの力だ。

『えへへ！もっと褒めていいよ……と言いたいとこだけど、話を進めるね。通信衛星を経由して『S.T.Y.X.』にたどり着いた僕は、新しいギアを手に入れたんだ』
「『S.T.Y.X.』……リリア様が教えてくださった嘆きの島の番人たちの組織のことだな」

なるほど、前回も含めて今回は『S.T.Y.X.』も仕事してるってわけね。
いや、それが普通なんだけど。

『うん。そして僕は、彼らのサポートを得て、この島への突入作戦を決行することになった。マレウスさんのユニーク魔法……『祝福(フェイ・オブ・マレフィセンス)』を解析するためにね』

そして、オルトは語る。
私たちがリリア先輩の夢の世界を過ごしている間に起きた、彼らの物語を――――。