【ツイステ】魔に愛された少女はねじれた世界を生きる34

EPISODE7-94 顕現ポテンシャル！ ページ47

熱砂の国から帰ってきたリリアさんは、『揺籃の塔』で卵に話しかけていた。

『よう、調子はどうだマレウス？』

卵はリリアさんの言葉に反応して、点滅を繰り返す。

『魔力を受け取る日と受け取らない日にばらつきがあるんだって？バウルに聞いたぜ。何が気に入らねぇってんだ？いっちょ前に好き嫌いしてんじゃねえ。お前の母親も好き嫌いが多くて、城の厨房係を困らせてばかりいた。
　似てなくていいんだ、そんなとこは。マレフィシア様もきっと呆れてるぜ。……マレノアは四苦八苦する俺たちを見て、あの世で高笑いしてんだろうな。
　そういや、レヴァーンも普段は優等生を気取ってたくせに……嫌いな野菜はよくテーブルクロスの下に隠してたっけ。本当、腹が膨れりゃなんでもいい俺とは大違いだ。親子揃って手間がかかるったらねぇな』

そこまで思い出話を咲かせた後、リリアさんは今回の土産話を話す。

『……今回の旅は、熱砂の国まで足を延ばした。人間ってのはすごいもんだ。たった10年ほどで小さな村も大きな都市に発展させる。人間の進歩は、想像を遥かに超えてる。
　……生粋の妖精であるお前にとっては、どんどん生きづらい世界になるかもしれないな。……またすぐに発つ。次こそはお前を孵す方法を見つけてくる。だからそれまで……』

そこで言葉を区切ると、リリアさんは歌う。
マレノア様が歌っていた、あの子守唄を。

黒鱗城を後にし、リリアさんはまた旅に出る。
何度か獣や盗賊に襲われ、立ち寄った村で妖精だとバレて石を投げられても、信憑性の低くても、手にした情報を頼りに歩き続けた。

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