【ツイステ】魔に愛された少女はねじれた世界を生きる34 (ページ45)

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EPISODE7-93 探索ジャーニー！ページ45

リリアさんの記憶を見て、私たちは顔を見合わせた。

「……そうか。親父殿が世界を旅していたのは、マレウス様を孵す方法を探すため……」
「400年前……今よりも他種族に対して偏見が多かった時代だ。楽な旅ではなかったはず」
「一体親父殿は、どんな旅をしたんだろう？」
「……なんとなく想像つくけどね」

そう思っていると、あのオーロラ色の光が記憶を見せてくれた。
場所は、お祭りで賑わう街。誰もが笑顔の中、リリアさんだけマントのフードを目深く被っていた。

『輝石の国の街に、透明になるドラゴンが現れたという話があるが……。そんな人里近いところに、ドラゴンなんか本当にいんのか？』
『今日は年に一度のお祭りだ！旅人さんも一緒に楽しもう！』

訝しむリリアさんに、住人の1人が声をかける。
手には木のジョッキを持っていて、明らかに祭りの空気に呑まれている。

『悪いが、先を急いでいる。時に、この辺りでドラゴンが出るって話を聞いたことはないか？』
『ドラゴン？そんなの伝説上の生き物だろ。それよりあんた、ひどい顔色だぜ。そんな真っ白な顔をして、どこか具合が悪いんじゃ……あっ！』

住人がリリアさんの顔を覗き込むと、酒で赤かった顔が青くなる。

『その尖った耳、あんた、妖精族か……！？』
『え！？北の大陸を恐怖で支配していた、あの？』
『か、怪物め！この街から出ていけ！』

正体がバレた直後、住人たちは一斉に石や空のジョッキなどを投げる。
それを見て、リリアさんは怒りで顔を歪ませる。

『怪物だと？人間どもが、どの口で！』

魔法で攻撃しようとするも、寸前で止めた。

『騒ぎを大きくすりゃ、マレフィシア様の立場がもっと悪くなっちまう……くそっ！』

茨の谷の情勢を思い出し、リリアさんは逃げるように街を去る。
その後、街から黒鱗城に帰還したリリアさんが向かったのは『揺籃の塔』だった。

『ヴァンルージュ殿、此度の旅はいかがでしたか？』
『……めぼしい情報はなにも』
『そうですか……』
『卵の様子は？』
『芳しくありません。ですが……ヴァンルージュ殿が旅立たれた後、ほんの少し卵が受け取る魔力量が増えたのです。あなたが旅立ちの日にかけたお言葉に、殿下も奮い立ったのかもしれません』
『そんなことあるわきゃねぇだろ。ま、そもそも赤ん坊なんてのは何を考えてるかわかんねぇ生き物だからな。生きてんなら、それでいいんだ』

リリアさんが悲しげに瞼を伏せていると、バウルさんが気を遣うように声をかける。