【ツイステ】魔に愛された少女はねじれた世界を生きる34 (ページ39)

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それを皮切りに、リリアさんは『闇』の中へと入っていった。

「親父殿――――ッ！！」
「リリア様を追いかけるぞ、シルバー！グリム、A！」
「……ああ、行こう！」

バウルさんが困惑する前で、私たちは『闇」の中に飛び込む。

「またこの真っ暗で寒いトコに来ちまったんだゾ～」
「まさか二度も『闇』の中に入るなんて……さすがの私も予想外よ」
「ええい、情けない声を出すな！リリア様を見つけ出し、これが夢だと気づいていただければ、元いた場所に戻れるはずだ」
「ああ……そうだな」

そう言ったが、私たちは先ほどの光景を思い出した。

「俺は……初めて知った。親父殿が右大将を退いたのには、あんな深刻な理由があったなんて」
「あんなのパワハラ以上に最悪なやり方よ。今、私の中で元老院が一番嫌いになったわ」
「………………。実は、リリア様に弟子入りした頃からずっと疑問に思っていた。退役した重鎮は、竜の都のそばに大きな屋敷を構えていることがほとんどだろう？
　なのに……お祖父様が国の英雄と尊敬し、若様が家族同然と慕うお方が……あんなに王都から離れた森の中に、隠れるように住んでおられる。それは一体何故なのだろうと」
「親父殿はいつも、『王都の空気は肌に合わない』と言っていた。それに、俺を王都に連れて行くこともしなかったし……だから俺は、てっきり自然の中で穏やかに暮らすのが好きなひとなんだろうとばかり……」
「それが蓋を開ければ、あんな横暴な命令のせいだった……というわけね」

きっとリリア先輩もバウルさんも、2人に話せる内容ではないと思ったのだろう。
事実、それを知ったらきっと幼い彼らは受け止めることができなかったはずだ。

「しかしマレウス様が幼少の砌からおふたりに交流はあったようだ。それに俺が物心ついてからも、何度か女王陛下やマレウス様のお召しで登城していた」
「元老院に竜の都の出入りを禁止されていたのに？」
「リリア様が一線を退かれ、マレウス様がお生まれになるまでの200年に一体なにが？」
「考えたってわかんねぇことをぐだぐだ言っててもしょーがねぇ！とにかく、リリアを捜すんだゾ。そんでこんなジメジメしたトコとはさっさとオサラバだ！」
「ああ。……待っていてください、親父殿！」

そうして私たちは『闇』の中を一歩踏み出した。