【ツイステ】魔に愛された少女はねじれた世界を生きる34 (ページ37)

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EPISODE7-90 剥奪ポジション！ページ37

マレノア様が死んだ。
わかっていたとはいえ、やはりその事実を素直に受け入れるほど物分かりがいいわけではない。

リリアさんの慟哭を聞いて、誰もが何も言えなかった。
その時だ、何かが現れる気配がしたのは。

『なんということだ……マレノア姫様が、星に還ってしまわれるとは……』
『人間を前に1歩たりとも退かなかった。なんという気高さ。彼女こそ、夜の眷属の誇り』
『安らかに眠れ、夜の愛し子よ』
『『『――夜の祝福あれ』』』

耳の傍から聞こえてくる、姿なき声。
でも……私にとっては、ただただ不快な声でしかなかった。

「なんだ、この声？耳のすぐ傍で声がするのに、誰もいねぇんだゾ」
「……元老院のお出ましだ」
「元老院！？肉体が星に還ってなお、思念をこの地に留めているという、あの？」

思念だけを？それって、ゴーストと同じようなものってこと？
だけどその前に、元老院の言葉に反応したのはリリアさんだった。

「……マレノアが気高い？夜の眷属の誇り？ふざけるな！気高さも、誇りも……全部クソくらえだ！！星に還っちまったら、そんなもんなんの意味もねぇだろうが……！」
「リリアさん……」

リリアさんの痛哭に、元老院は蔑みと怒りを滲ませた声で言った。

『卑しい口を閉じろ、薄汚い蝙蝠め。姫を戦場に残し、おめおめと逃げ帰ってきたのか……！』
『姫をお守りできず、なにが近衛兵だ。敵前逃亡とは……恥を知れ！』
『ああ、姫様……妖精の誇りを解さない愚かな部下を持って、なんとお可哀想だこと……』
『わらわは何度も忠告しました。泥のついた蝙蝠など、高尚なる竜のお側にふさわしくない』
『ドラコニア一族への恩を仇で返しおって……この役立たずが！』

元老院から出る罵詈雑言の嵐。
シルバー先輩もセベクもグリムも黙る中、私だけは必死に怒りで吐き出しそうになる言葉を押さえた。

(さっきから、何を言っているの？命懸けて戦って、守れなくて後悔して、ツノ太郎を守り切ったリリアさんに、そこまで言う資格がこいつらにあるの？
　肉体がなく、未練がましくこの世に残っているゴーストの分際で。何もしていないお前らが――――リリアさんを侮辱していいわけがない！！)

リリアさんは黙って元老院の罵声を受ける中、バウルさんが前に出た。