【ツイステ】魔に愛された少女はねじれた世界を生きる34 (ページ36)

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「……はぁ、はぁ……」

その光景を、夜明けの騎士は荒い息を吐きながらも、悲しげな眼差しで見つめていた。

「私たちは、どこで道を間違えてしまったのだろう。もっとお互いを知り、歩み寄れば……共に生きる未来もあったかもしれない。
　だが私は、私たちは、その道を選べず……お互いを傷つけあい、たくさんの仲間を失い……もう引き返せないところまで来てしまった」

人間と妖精の間に生まれた軋轢は、もはや数年だけでは埋まらないほど広がっている。

「許してくれとは言わない。でも、どうか……夢見ることを許してほしい。妖精と人間。それだけではなく、全ての種族が笑いあえる世界。……それが、いつか夢ではなく……現実になる日を」

それが、剣しか取り柄がなく、主人に従うだけの自分が抱く願いだ。

「――守護妖精よ……我に力を！」

最後の力を振り絞るように、夜明けの騎士はありったけの力を溜め込む。
マレノアも同じように今までのより大きな緑の炎を溜める。

そして、夜明けの騎士の黄金の光と、マレノアの緑の炎が激突する。
互いの力が拮抗し、そして――――

目の前が、真っ白になった。

黒い雲が消えていく。
淡いオーロラのような空が、黒鱗城を照らす。

「嵐が止んだ。暗雲が、消えていく……」
「夜明け、だ……」
「これは、一体……」

私たちが呆然とする前で、リリアさんが全身を震わせる。

「あ、あああ……ああああ……！！！」
「ヴァンルージュ殿！？」
「まさか、そんな馬鹿な！！こんな、こんなことが……ッ！」
「バウル様、どうなさったのです！？」

2人の異変にセベクが問いかける。
青ざめた顔をした彼は、唇を震わせながら告げる。

「マレノア様の魔力が…………消滅、した…………」
「「「…………ッ！！」

魔力が、消滅。
それはつまり―――マレノア様が、死んだ？

「マレノア……マレノア……！！俺にもっと力があれば、無理やりにでもお前を黒鱗城に連れ帰ったのに……！なんで、どうして……！
　レヴァーン、お前との約束も……俺は、俺は……！くそおおぉおぉ――――――！！」

誰もが言葉を失う中、リリアさんの慟哭だけが虚しく響き渡った――――。