【ツイステ】魔に愛された少女はねじれた世界を生きる34 (ページ28)

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EPISODE7-88-15 魔の山の大橋ページ28

魔の山を目指して歩いて、歩いて、歩き続けて。
ようやく目的地にたどり着いた。

「はぁ、はぁ……竜尾岳と魔の山の渓谷にかかる大橋にたどり着いた」
「う…………っ、ここ、は？」
「ヴァンルージュ殿、気が付きましたか。魔の山に続く大橋の手前です」
「お前、本当に竜尾岳の麓から俺を背負ったまま、ここまで登ってきたのか……？」

目を覚ましたら、本当に魔の山の近くまで来ていたことは、さすがのリリアさんも驚いていた。
そりゃそうでしょ。ここまでの道のり、とても大変だったのだから。

「はい。問題ありませんでした」
「はっ！卵は！？」
「心配しなくても、卵はAがちゃーんと運んでやってるんだゾ」
「大丈夫ですよ、ここにあります」
「ほっ…………」

卵の無事を確認できて、リリアさんは安堵の息を吐いた。

「……おい、シルバー。もう自分で歩ける。降ろせ」
「本当に大丈夫ですか？俺は竜の都までこのままでも平気です」
「は、随分生意気言うようになったじゃねぇか。お前らには感じ取れないかもしれないが、辺りに立ち込める霧には魔力が豊富に含まれている。ここまでくりゃ、傷もすぐに塞がるだろうよ。……よっ、と」

そう言って、リリアさんはシルバー先輩の肩から降りた。

「Aも。重たい荷物を運ばせちまったな。ほら、よこせ」
「は、はい」
「どこも傷やヒビは入ってねぇな。はぁ……本当にずっしり重てぇ」

卵を受け取ると、リリアさんは離さんばかりに抱きかかえる。
なんだかんだ言いつつ、やっぱり卵は大事らしい。

「そういえば、セベクの姿が見えねぇな。あいつはどうした？」
「バウル殿と共に敵を食い止めるために残り……まだ再会できていません」
「そうか……バウルと……」

セベクの安否を思う彼の横顔を見た直後、地面が揺れた。

「「「「！？」」」」
「ふなっ！？地震か！？」
「いや、違う。この耳に障る音は……」

リリアさんが睨みつける方向を見ると、そこにいたのは装甲掘削機を連れた『銀の梟』だった。

「ついに追いつめたぞ、ヴァンルージュめ！！」
「装甲掘削機で橋を落とせ！なんとしてもヴァンルージュを討ち取り、ドラゴンの卵を手に入れろ！」
「チッ、またあのデカブツか……！」
「『銀の梟』のヤツらもワラワラ出てきたんだゾ～！」
「ヴァンルージュ殿とAたちは早く橋の向こうへ！俺が時間を稼ぎます！」

私たちの前に出て、警棒を構えたシルバー先輩は『銀の梟』に向けて吼えた。