【ツイステ】魔に愛された少女はねじれた世界を生きる34 (ページ25)

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EPISODE7-88-12 干渉できない理由ページ25

魔獣を追い払って森の中を歩いていると、ふとグリムが卵を見た。

「なあ、この卵……本当にマレウスが入ってんのか？」
「そうだと思うけど……どうして？」
「卵っつーより、でっけぇキラキラした石に見えるんだゾ」
「確かに……って、突かないの！割れたらどうするのよ！」

卵をつんつんしたグリムに怒鳴ると、シルバー先輩はこちらを見た。

「俺が物心ついたとき、マレウス様はすでに今とほぼ変わらないお姿だった。一体どのような姿でお生まれになるのだろう」
「ドラゴンの姿だと思いますよ。前に二本足で歩く前がなんとか言っていたので」

前に話した内容を思い出していると、シルバー先輩は目を見開いた。

「はっ……。もしかすると親父殿の夢は、マレウス様が生まれる前の記憶だから干渉しづらい……のか？魔法の根源はイマジネーション。だからマレウス様が知らない、想像の及ばない部分はコントロールが難しい、とか……」

シルバー先輩の推測は当たっているかもしれない。
でもその通りならば、彼が生まれた途端に干渉できてしまうのではないだろうか？

「シルバー、オメーさっきからなに1人でブツブツ言ってんだ？」
「いや。なんでもない。……あれこれ考えても仕方がないな。今はとにかく、前に進もう」
「そうですね」

そうして道なりに進んでいると、視線の先に古びた家があった。

「見ろよ、こんなところに古い家がある」
「どうやら空き家のようだ。……ん、毛布やシーツが置いてあるな。ちょうどいい。寒さを凌ぐために使わせてもらおう」
「え～！こんなホコリか毛布かわからねぇヤツ嫌なんだゾ～。オレ様の鼻はビンカンでセンサイなのに！」
「敏感で繊細？？？」

グリムには似合わない単語に絶句するが、かなりの年月使われなかったのか、どこもかしこも埃まみれ。
これを使うのはちょっと……と思うが、そこはシルバー先輩。
緊急時では一切容赦がない。

「体を冷やすと、それだけで体力を消耗する。今は見た目に拘っている場合じゃない。さあ、これを」
「ぎゃ～！オレ様の毛並みにいっぱいホコリが～！」
「ホコリとグリムが一体化してる……」

真っ白になったグリムを見て、私は埃を軽く叩いた毛布で体を温めることになった。