【ツイステ】魔に愛された少女はねじれた世界を生きる34 (ページ17)

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「わかりました。A、マレウス様の卵を持っていてくれるか」
「任せてください」

シルバー先輩の言葉に頷き、リリアさんから卵を受け取る。
卵は見た目通り大きく、ずっしりとしていて、とても重い。

「リリアが抱えてた時も思ってたけど、近くで見るとでっけぇ卵なんだゾ」
「そうね。……なんだか変な感じ」
「ヴァンルージュ殿、失礼します。よっ……と」

卵を受け取った後、シルバー先輩はリリアさんをおんぶする。
さすがのリリアさんも驚いて、シルバー先輩の背後でジタバタ動く。

「なっ！？てめぇ、何しやがる！この俺を、赤ん坊みてぇに背負うなんざ……！まさか俺を背負って竜尾岳を登るつもりか！？無茶だ！いいからここに置いて……ッ！ゴホッ、ゴホッ！」
「大丈夫。俺は山育ちで、重い荷物を背負って山登りするのは慣れてます。『生きてさえいれば、後でどうにかなる』……俺の師匠の教えです。だから生きることを諦めちゃダメだ……絶対に！」
「て、めぇ……この俺に、説教なんざ……うぅ……」

シルバー先輩の言葉に反論しようとしたが、ぐったりとして気を失う。

「リリアのヤツ、気を失っちまったみてーだ」
「今まで立っていられたのが不思議なくらいだ。しばらく休んでいてもらおう」
「そうですね。少しでも休ませてあげましょう。……それで、今後はどう動きます？」
「山を少し登った場所にある野営地に立ち寄るか、一直線に魔の山を目指すか……どちらにせよ、目指すは北だ。行こう、ふたりとも。親父殿とマレウス様を、黒鱗城へ届けるぞ！」
「はい！」

リリアさんをシルバー先輩が、卵を私が抱えながら、闇夜の森を歩き始める。
雨は、まるで私たちの足跡と姿を隠すように、強くなりはじめた。