【ツイステ】魔に愛された少女はねじれた世界を生きる34 (ページ12)

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「僕は祖父を心から尊敬しているんです。だから、あなたの……妖精(あなたたち)の力になりたい！」
「……ふっ。そんな状態の装備では、力になろうにもなれないだろう。警棒にはヒビが入っているし、防具もボロボロだ」
「ご、ご心配には及びません！そこで倒れている『銀の梟』のものを拝借して……」

セベクが地面に倒れる鉄の者から鎧を剥ごうとしたが、その前にバウルが止める。

「人間……否、セベク・ジグボルト。このたびの貴殿の働きに感謝する。この戦いで傷ついた装備に代わり、貴殿に相応しい装備を授けよう」
「えっ……？」
「茨の国王宮近衛兵バウル・ジグボルトの名において、新たな戦士の誕生に……――夜の祝福あれ」

バウルが祝福を授けた瞬間、セベクの姿が変わる。
ボロボロの寮服から、深い緑色の鎧に。
ヒビの入った警棒から、魔法石の刃を持つ戦斧に。

「こ、この鎧と魔石器は……！？」
「茨の国を守護する王宮近衛兵と同じものだ。魔石器は先に倒れた仲間のものだが……折れかけの警棒よりはマシだろう」
「マシだなんて、とんでもない！近衛兵のみなさんと同じ装備なんて、これ以上はありません」
「最後に面だが……ふむ。お前にはこれがいいか」

そう言って、バウルが出して被せたのは鰐の面だ。

「鰐の面は、我が隊では私のみに纏うことが許されている。同じ姓をもち、祖父が妖精だというなら……右大将殿が言っていたように、どこかで縁が繋がっているのだろう。セベク・ジグボルト。半妖の戦士よ。これからもお前の戦いぶりに期待している」
「……はい！この面に、ジグボルトの名に恥じぬ戦いをお見せいたします。おじ……バウル様！」
「さあ、急いで右大将殿たちを追うぞ！」
「はっ！」

豪雨が降りしきる森の中、歴戦の戦士と新たな戦士は共に駆けだした。