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苦しげに言葉を吐くリリアさんに、マレノア様は態度を変えないまま告げる。
「くどいぞ。私は奴らに負けはしない。どれだけ数を集めようが、ことごとく焼き払ってくれよう。だが………万が一私が戻らずとも、“その子”がいる」
「お前がいなくちゃ、この卵は孵らない！」
「その時は、お前が孵せ」
「無茶を言うな！ドラゴンは親の魔力と愛情でしか……真実の愛でしか孵せないんだぞ」
真実の愛。
夜の眷属には似合わない、だけとこの世界で最も尊いモノ。
親の愛を一心に受けて卵は孵って、誰からも慕われる王となる。
本当ならこのままずっとツノ太郎が受けるはずの、大切な感情。
マレノア様は、自分自身が孵せてあげたかったはずだ。
その役目を、リリアさんに託すことが、彼女にとって苦渋の決断だと理解していても。
「俺には親の愛情なんぞわからん。誰かを愛したことだって……そんな俺にこの卵を孵せるわけねぇだろ！」
「私を愛しているだろう？幼い頃に私に求婚したのは偽りか？」
「はァ！？求婚って……200年以上前のガキの頃の話だろうが！なんで今そんな話を……」「お前はレヴァーンのことも愛していた。左大将であった我が夫と、右大将であるお前が共に過ごした時間は、夫婦よりも長い。愛する私たちの血を引く子を、お前が愛さぬわけがない。そうだろう、リリア？」
「何を馬鹿なことを！はっ……！？」
とんでもない発言と告白を告げられた直後、私たちのいる広間にツタが入り込んできた。
「ふなっ！？なんなんだゾ！？ツタがいっぱい入ってきた！」
「この茨は……おいマレノア！馬鹿なことを考えるのはやめろ！」
リリアさんが魔石器を振るも、ツタは私たちの体に巻き付き始める。
「マレウスはいずれ、この茨の国に暮らす妖精を明るく照らす吉星に……そして、人間どもにとっては恐れるべき凶星になるだろう」
「体に茨が巻き付いて……ひ、引きずられている！」
「姫様！こんなことはおやめください！姫様―――ッ！！」
「くっ……！ダメだ！体が、茨に押し流される……ッ！」
「マレウス……わたくしの愛しい子。頼んだぞ、リリア。――夜の祝福あれ」
「！！ま、待って……！！」
私が制止をかけるも、時はすでに遅く。
マレノア様は空間転移によって姿を消す。
それが、マレノア様との最後の会話となった。
「やめろ……だめだ、行くな！！マレノア――――――！！」
リリアさんの絶叫の後、私たちの体は広間から濁流の如く押し流された――。
この小説の続きへ→←EPISODE7-77 切願リトリート！
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ブロッサム(プロフ) - 見ましたよ！やばかったです！多分夢主のことですから、フェローを見て（あの人、良い毛皮が取れそう……）と最初に思いますね！ (10月16日 22時) (
レス) id: 18fafb8a30 (このIDを非表示/違反報告)
ミア - ステージ・インプレイスルランド 〜踊る人形と幻の遊園地〜。見ましたか！？何もかもやばかったですね！開始が待ち遠しいです！この小説の夢主がどのようなことをするのか楽しみです！ (10月16日 20時) (レス) @page31 id: e7ce89d83f (このIDを非表示/違反報告)
ブロッサム(プロフ) - ありがとうございます！ (9月10日 20時) (レス) id: b52f0561ce (このIDを非表示/違反報告)
ユノン - 更新はゆっくりでいいですよ (9月10日 18時) (レス) id: f5fff43cec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ブロッサム | 作成日時：2023年8月14日 17時
