【ツイステ】魔に愛された少女はねじれた世界を生きる30

EPISODE7-45 現状グラスプ！ ページ3

No side

無線LAN経由でイグニハイドにあるイデアの部屋に辿り着くオルト。
ちょうどイデアはベッドの中で静かな寝息を立てていた。

「すー……すー……」
『兄さん！無事！？ああ、良かった！どこも怪我はしてなさそう。ディアソムアの外にまでマレウス・ドラコニアさんの魔法の影響が届かなかったのかな？』
「すー……すー……」
『気持ちよさそうに寝てるのを起こすのはしのびないけど……今は緊急事態！まずは無線のスピーカーに接続して……っと』

電脳空間にいるため、機体(ギア)ありよりも迅速にスピーカーに接続する。

『兄さん！大変なことが起きたんだ。起きて！』
「すー……すー……むにゃむにゃ……」
『もう！熟睡してる場合じゃないってば！にーいーさーん！』
「すー……すー……」
『よーし。こうなったら……』

そうして、オルトはあらゆる手段を用いてイデアを起こそうと躍起になる。
兄の好みを正確に理解しているが故に、彼がどんなもので起きるか把握済み。
それなのに……全て失敗に終わった。

『はぁ、はぁ……！スペアの機体(ギア)にデータを移そうとしたけど、どれも魔導回路がやられててぴくりとも動かせない。
　魔導を使用してない純粋な電化製品は動かせたから、部屋にあるスピーカーから大音量で『がけも』を流したり、ロボット掃除機を動かしたりして見たけど……どれも一切効果ナシ！
　兄さん、普段はどれだけ熟睡してても……『がけも』の名曲『運命の糸をぶった切れ！』をかけたら跳び起きて変な振りで踊りだすのに……。
　物を動かしてぶつけたりすることもできないなんて。今の僕、ゴーストよりも存在感が薄いよ……』

はぁ、とため息を吐きながらオルトは首を傾げる。

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