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ページ43

目を開ける。
何回か瞬きをして、床に寝転んでいた体を起こす。

「ここは……?」

見覚えのある部屋で起きた私は、ぼんやりとしながら状況を把握する。

「たしか、ツノ太郎が魔法を使って……」

そうだ。
突然変なことを言い出して、いきなりとんでもない魔力を発する魔法を使った。
どれだけ抵抗しても歯が立たなくて……最後に見たのは黒い茨がディアソムニア寮を包み込む光景。

そこまで思い出し、私は周囲を見渡す。
鮮やかな色をした家具や壁紙をしたこの部屋は……オンボロ寮よね……?

「それより、みんなはどこへいったの?」

そう思いながら見渡した瞬間、

「ぐ〜……すぴゃぴゃ……」

ヘソ天状態で眠っているグリムを見つけた。

「グリム!」
「ふな……空からツナ缶が降ってくる〜。オレ様、ツナ缶富豪……むにゃ……」
「……この状況でどんな夢見てるのよ。起きなさい!」
「むにゃ……もう食べきれないんだゾ〜……」
「こんの……早く起きなさい、この狸!猫!」

暴言を吐きながら、グリムを揺するも彼は未だ夢の中。

「幸せぇ……ずっとこのまま……ぐー……」
「大魔法士になる夢はどうしたの!?起きなさい、寝坊すけ!」
「ふがっ!?何すんだ、A!?」

もっと激しく揺さぶったおかげで、ようやくグリムは目を覚ます。
そしてきょろきょろと辺りを見渡した。

「なっ……オレ様のツナ缶の山は?」
「そんなものないわよ」
「あれ?あれっ?もしかして……全部夢?」
「ええ」
「ふなぁ〜〜〜ガッカリなんだゾ……」

本気で肩を落とすグリムだが、部屋の中を見ながら言った。

「というか、いつの間にオンボロ寮に戻ってきたんだぁ?オレ様たち、さっきまでディアソムニアでリリアのお別れ会をしてたよな?」
「ええ。……で、その後は?」
「それで……たしかツノ太郎が急に現れて……」

そこで言葉が途切れ、ようやく思い出したのかグリムは息を呑む。

「ハッ!ツノ太郎のヤツがオレ様たちをぶっ飛ばして、それから……うう、ダメだ。よく思い出せねぇんだゾ」
「そこは私も一緒ね。他のみんなの姿が見えないわ」
「とにかく、外に出てみようぜ」

グリムの案に乗り、私は立ち上がった。

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ブロッサム(プロフ) - 誤字報告ありがとうございます! (6月1日 14時) (レス) id: b52f0561ce (このIDを非表示/違反報告)
ミア - 訂正があります。42ページの【森】が【盛り】になっていました。 (6月1日 13時) (レス) @page42 id: 7e57969e52 (このIDを非表示/違反報告)
ブロッサム(プロフ) - ああ、確かに似てますね! (5月29日 16時) (レス) id: b52f0561ce (このIDを非表示/違反報告)
ミア - 来ました!更新!メインストーリーを読んでいると、鬼滅の刃無限列車編みたいだなぁと思いました。 (5月29日 14時) (レス) @page35 id: 7e57969e52 (このIDを非表示/違反報告)
ブロッサム(プロフ) - 来ましたね!更新が再来週の月曜日になりますが、しばらくお待ちください。 (5月20日 16時) (レス) id: b52f0561ce (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ブロッサム | 作成日時:2023年3月11日 2時

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