＊ ページ6
意外な顔をしたリドルを見て、過去のあれこれを思い出したのが、アズールが悲鳴じみた叫びをあげる。
「はっ！？ボクは別に何も言ってないだろう」
「今では本当に公開しているんです。ろくに勉強もせず、好きなものを食べてはゴロゴロ……時間を浪費しつつカロリーを蓄えるという最悪のルーティンを何年も続けていたことを！！！」
「そ、それは確かに改めるべき生活習慣だとは思うけれど」
「その後一念発起し、あらゆることをがむしゃらに学びましたが……。こうして努力し続けてきた人との差を見せつけられると、悔しくなりますよ。もっと早く始めておけば、とね」
アズールのその言葉に、リドルは意地悪く笑う。
「おや。随分と殊勝なことを言うじゃないか。でも、もしキミがボクのように昔から勉強“だけ”をし続けていたなら……きっと今ほどの野心やバイタリティは持ち得なかっただろうね」
「…………もしかして、褒めてくれてます？」
「貶してはいないよ。別に、褒めてもいないけれど」
貶すでもなく褒めるでもない、ただ事実を述べるリドルに、アズールは小さく苦笑した。
「野心か……フフッ。そうですね。今はあなたに“前衛”を譲っていますが、このまま“後衛”に甘んじ続けるつもりはない。あなたが少しでも油断すれば、卒業式で首席のスピーチをするのは僕になるかもしれません」
「フン。残念だけど、ボクの辞書に“油断”という文字はない。在学中……いや卒業後も、誰よりも前に立ち続けるさ。キミにだって一生負けるつもりはないよ」
「フフッ。いつまでその余裕が持つのか、お手並み拝見と行きましょうか。これはますます世界をリセットされるわけにはいかなくなりましたねぇ」
生まれ育った環境も努力の仕方も違う2人。
だけど、この場では互いに1位を譲らない極度の負けず嫌いなのは共通していた。
話が終わり警戒しながら階段を降り続け、ようやく最後の扉が現れる。
「あっ……前方に収容所のドアが見えてきた。地図を見る限り、ここが最後の関門になりそうだ」
「つまり、1番危険度の高いファントムが収容されているということですね。慎重にいきましょう」
アズールの言葉に小さに頷きながら、リドルは扉に手をかけた。
EPISODE6-67-22 第3タワー 22話→←EPISODE6-67-21 第3タワー 21話
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 72人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ブロッサム(プロフ) - すみません、非公開になってました！公開したのでぜひお読みください！ (2022年10月14日 8時) (
レス) id: d595bb7c63 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 初コメ失礼します！失礼な質問ですが、今公開されてる76、78の間のepisode77が公開されてないと思うのですが非公開になってますか？ (2022年10月14日 5時) (レス) id: d8e7150bd9 (このIDを非表示/違反報告)
ブロッサム(プロフ) - 誤字報告ありがとうございます！ (2022年9月13日 8時) (レス) id: c6af79d659 (このIDを非表示/違反報告)
シャリファ(プロフ) - 初コメ失礼します！すみません。アズールの「グリムさん」が「グリムだん」になってます。 (2022年9月13日 7時) (レス) @page1 id: d94d66ff3c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ブロッサム | 作成日時：2022年9月12日 22時
