EPISODE8-83-9 くだらなくても『闇』にとっては絶好の獲物 ページ40
『闇』の中は、本当に気が滅入る場所だ。
どこを歩いても真っ暗で、不安を湧き上がるような感覚がする。
それを出さないよう努力している横で、グリムが余計な代弁をした。
「暗くて寒い場所にずーっといると、気分がどんよりしてくるんだゾ。つい嫌なことばっかり考えちまう……」
「……念のために聞くけど、嫌なことって？」
「オレ様たちが寝てる間に、現実ではもう100年くらい過ぎてて……秘蔵のツナ缶が全部消費期限切れちまってたりしたら、どうしよう……。はぁ……」
「くだらなっ！？」
そんなこと考えてたの！？
そう思った瞬間、『闇』が私たちを取り囲んだ。
「馬鹿者！そんなくだらん感傷で『闇』を引き寄せるんじゃない！」
「その感傷の内容が超くだらないのに！？」
まさかグリムのアホすぎる感傷で引き寄せるとは思っておらず、私たちは必死になって『闇』を倒す。
「少し歩いただけで、すぐ『闇』が襲ってくるんだゾ！」
「僕はだんだん腹がたってきた」
「え。なんでよ？」
そう聞いた瞬間、セベクは眦を吊り上げた。
「シルバーめ……アイツは、茨の谷の伝説の英雄と謳われた右大将殿に、おしめをかえさせていたのだぞ！！」
「……えっと？」
「リリア様は僕の父に、何度も人間の育て方について教えを乞いにきたそうだ。『晩から朝まで2時間と開けずに泣くんじゃ。どこか悪いのか？』『最近シルバーが何をしてもイヤイヤと泣く。どうすればいい？』」
「夜泣きとイヤイヤ期……」
人間誰もしも赤ん坊の時なら必ず通る道。
セベク、まさかシルバー先輩がリリア先輩に育児されてたこと羨ましがってるの……？
「あの天下無双の近衛隊右大将が、右も左もわからん人間の子育てに悪戦苦闘なされて……。それでも、ずっと一緒にいた。17年も！なのにアイツは！なんで……！」
「セベク……」
「ぐぬぬ〜〜〜っ！やはり一言ガツンと言ってやらねば気が済まん！シルバー！貴様、どこにいる！さっさと出てこい
色々とあるけど、結局のところセベクはシルバー先輩のことを心配している。
怒鳴りながら先を進むセベクを見て、私はため息を吐きながら歩き出した。
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ブロッサム(プロフ) - 脱字報告ありがとうございます！ (11月29日 14時) (
レス) id: 2d3621a68f (このIDを非表示/違反報告)
ミア - 訂正があります。今日更新したシルバーのセリフのどうしてのうが抜けてます。 (11月29日 14時) (レス) @page48 id: 1893bd7a09 (このIDを非表示/違反報告)
ブロッサム(プロフ) - 誤字報告ありがとうございます。 (11月19日 15時) (レス) id: b52f0561ce (このIDを非表示/違反報告)
ミア - 訂正があります。36ページのセベクのセリフにある【師弟】が【指定】になってますよ。 (11月19日 15時) (レス) @page36 id: 48a8f87c53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ブロッサム | 作成日時：2023年10月28日 20時
