EPISODE7-81-4 追憶の幕間1-1 ページ16
No side
『闇』の中で、まるでシルバーに真実を教えるように、自分の知らない記憶を伝えてきた。
『しかし人間の赤ん坊とは、何を食べて育つんじゃ？妖精は花の蜜なんじゃが……ふぅむ』
妖精と人間とでは育て方が違うため、リリアは赤子のシルバーに与える食事について悩んでいた。
『たしかバウルの娘婿が人間であったな。話を聞いてみるとするか』
リリアの声が消えた瞬間、オーロラ色の光が灯る。
光は大きく広がり、やがて見慣れた景色を生み出す。
そこは、水車がガラガラ回る茅葺屋根の一軒家。
一本の大樹と繋がったその家を、シルバーは知っていた。
「この家は……この景色は。俺と親父殿が過ごした、森の家だ」
ナイトレイブンカレッジに入学するまで、ずっと暮らしていた実家。
その家から、マレノアが歌っていた子守唄が聴こえてきた。
そして、その歌声の持ち主は――リリアだ。
「この歌は……昔、親父殿がよく歌ってくれた子守唄……」
懐かしさに顔を歪ませた時、とある人物が家の玄関のドアをノックした。
『リリア、入るぞ』
「！！マレウス様……！？」
家に入ってきたのは、黒い衣装を纏ったマレウス。
完全にお忍びスタイルのマレウスは、リリアとゆりかごの中で眠るシルバーを見た。
『お前がどこからか人間の赤子を拾ってきたと、森の妖精たちが噂していたが……』
『し―――っ。今ちょうど寝たところなんじゃ。静かに』
『……なんだ、その裸の猿のような生き物は』
ゆりかごを覗き込んだマレウスの失礼発言を聞き流しながら、リリアは笑顔で話しかける。
『噂の赤子じゃよ。名をシルバーという。どうじゃ、愛らしいじゃろ？』
『愛らしい？コレが……？』
『ちょうど良いところにきた。わしはちょっくら買い物に行ってくる。少しの間、シルバーを見ていてくれ』
『は？コレを？僕が！？』
さらっと一国の王子に留守番を任せたリリアは、困惑するマレウスを横目に身支度を整える。
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ブロッサム(プロフ) - 脱字報告ありがとうございます！ (11月29日 14時) (
レス) id: 2d3621a68f (このIDを非表示/違反報告)
ミア - 訂正があります。今日更新したシルバーのセリフのどうしてのうが抜けてます。 (11月29日 14時) (レス) @page48 id: 1893bd7a09 (このIDを非表示/違反報告)
ブロッサム(プロフ) - 誤字報告ありがとうございます。 (11月19日 15時) (レス) id: b52f0561ce (このIDを非表示/違反報告)
ミア - 訂正があります。36ページのセベクのセリフにある【師弟】が【指定】になってますよ。 (11月19日 15時) (レス) @page36 id: 48a8f87c53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ブロッサム | 作成日時：2023年10月28日 20時
