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『う……?あぅ?』
「え………あ、髪が……」

不思議そうに首を傾げる赤ん坊を横目に、シルバーは髪の色が変わったことに驚きを隠せない。
それは、祝福を与えたリリアも同じだった。

『おや?髪の色が金から銀に……。もしかすると、夜明けの騎士の陽の光のように輝く髪は、昼の眷属の祝福によるものであったのかもしれんな。
 お前の髪は夜の眷属(わし)の祝福で、月の光を灯したようじゃ。ちょうどよい。金色の髪をした人間は、茨の谷ではちと目立つ』
『あぅ……あぶー……』
『くふふ。久しぶりに泣いて疲れたか?お主、名前は……ううむ、ゆりかごにも指輪にも、どこにも記されておらんようじゃ』

夜明けの騎士やレイアなら知っているだろうが、すでにいない。
どうすればいいか、と悩んだ直後、赤ん坊の髪を見て呟く。

『ふぅむ。……月の光……銀色……よし、決めたぞ』

そう言って、リリアは赤ん坊に微笑んで告げた。
この平和の世界を生きる、夜の祝福を授けられた子どもとしての名を。

『シルバー。今日からお主は、シルバーじゃ。闇夜を照らす月。その銀の光が、お前の道行きを照らすであろう』

リリアの名前を授かった赤ん坊――シルバーは、嬉しそうに笑った。
それを最後に、オーロラ色の光が消え、残されたシルバーは茫然自失しながら呟く。

「信じられない……じゃあ、俺の実の両親は……夜明けの騎士とレイア女王、なのか?」

自分が孤児だということは知っていた。
本当の両親については知らなくて、いつか知りたいとは思ったことはある。
だけど……この真実は、あまりにも残酷だった。

「そんな……どうして……どうして、こんな真実を、俺に………ううっ……」

『闇』の中で明かされた真実に、シルバーは再び涙を流した。

EPISODE7-81-3 『闇』の中、再び→←EPISODE7-81-2 夜明けの子の真実【後編】



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ブロッサム(プロフ) - 脱字報告ありがとうございます! (11月29日 14時) (レス) id: 2d3621a68f (このIDを非表示/違反報告)
ミア - 訂正があります。今日更新したシルバーのセリフのどうしてのうが抜けてます。 (11月29日 14時) (レス) @page48 id: 1893bd7a09 (このIDを非表示/違反報告)
ブロッサム(プロフ) - 誤字報告ありがとうございます。 (11月19日 15時) (レス) id: b52f0561ce (このIDを非表示/違反報告)
ミア - 訂正があります。36ページのセベクのセリフにある【師弟】が【指定】になってますよ。 (11月19日 15時) (レス) @page36 id: 48a8f87c53 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ブロッサム | 作成日時:2023年10月28日 20時

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