EPISODE7-81-1 夜明けの子の真実【前編】 ページ11
No side
「ううっ……、ううぅ……！！」
『闇』の中で、シルバーは泣いていた。
子どものように泣きじゃくり、ボロボロと涙を零す。
普段の冷静沈着な彼とはほど遠い姿は、きっと彼の知人が見れば驚愕のあまり開いた口が塞がらなかっただろう。
『…………―――ん、あ――――ん……』
だけど、突然聞こえた泣き声にシルバーは目を腫らしながら顔を上げる。
「……誰かが……………泣いている？この声は………………？」
『闇』の中で、オーロラの光が輝く。
それが一気に広がると、景色が一変する。
「ここ……は？」
首を傾げた直後、聞き覚えのある声がした。
『ここに来るのは……もう300……いや400念ぶりくらいになるか。ようやく周辺諸国との平和条約が調印に至り、翠が原に再び訪れることができた。……ここまでくるのに、随分長い時間がかかってしまった。本当に』
「この声は……親父殿？」
『野ばら城は、足を踏み入れれば呪われる廃城と噂されているというが……。微かに昼の妖精の魔法の残滓を感じる。人が寄り付かないよう、魔法を施したか』
「親父殿……俺の姿が見えていない？これはもしかして……親父殿の心の中にある風景の一部、か……？」
そう思った直後、どこからか赤ん坊の泣き声がした。
『これは……赤ん坊の泣き声？玉座の間のほうからじゃ。行ってみるか』
旅装束姿のリリアの後を追い、たどり着いたのは先ほどまでいた野ばら城の玉座の間。
マレノアの魔法による影響なのか、城全体が茨で包まれていた。
不気味なほどの静寂の中、泣き叫ぶ赤ん坊の声は嫌でも目立った。
『赤ん坊？しかも人間ではないか！どうしてこんなところに』
『ふぇっ……ふぎゃぁあん！ぎゃぁああん！』
木製のゆりかごにの中にいたのは、金髪の赤ん坊。
その赤ん坊の首にかけられた指輪を見て、リリアは息を呑む。
『！この指輪は……』
それは、かつて敵ながらもリリアたちを見逃してくれた夜明けの騎士が持っていたものと同じ。
同じ場面を見ていたシルバーも、その赤ん坊の正体に気づく。
「まさか、この赤ん坊は……俺、か？いや、でも……髪の色が違う。しかし、この瞳の色は、やっぱり……」
髪色は違くても、瞳は見慣れた自分のもの。
シルバーが呆然とする中、リリアは険しい顔で赤ん坊を見つめる。
『陽の光のような金の髪、そしてこの指輪……お主……まさか、夜明けの騎士の……？』
『あ―――ん！あぁ―――ん！！』
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ブロッサム(プロフ) - 脱字報告ありがとうございます！ (11月29日 14時) (
レス) id: 2d3621a68f (このIDを非表示/違反報告)
ミア - 訂正があります。今日更新したシルバーのセリフのどうしてのうが抜けてます。 (11月29日 14時) (レス) @page48 id: 1893bd7a09 (このIDを非表示/違反報告)
ブロッサム(プロフ) - 誤字報告ありがとうございます。 (11月19日 15時) (レス) id: b52f0561ce (このIDを非表示/違反報告)
ミア - 訂正があります。36ページのセベクのセリフにある【師弟】が【指定】になってますよ。 (11月19日 15時) (レス) @page36 id: 48a8f87c53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ブロッサム | 作成日時：2023年10月28日 20時
