＊ ページ47
会議室を出て、オルトは１人で廊下を歩く。
その間にも、彼の頭にはヴィルやルークの言った言葉が渦巻いていた。
「ゼロをゼロのままにしないために、僕ができることってなんだろう……」
そう呟いた直後、
【――教えてあげようか――】
聞き覚えのある声が、オルトの集音マイクに届いた。
「！！誰！？」
【……おいで】
【こっちへおいで】
「……この声……『タルタロス』のほうから……？まさか、ファントム……！？」
なにかの手違いでファントムが解き放ったのたど監違いするも、声は気にせず言った。
【知りたいんでしょう？】
【君になにができるか……】
「………知りたい。どうしても変えたいんだ……未来を」
声を聞く度に、オルトの目から光が徐々に失われていく。
室内なのに周囲に霧が漂い始めても、彼は一向に気付かない。
【なら もっとこっちへ……】
【おりておいで】
声に導かれるように、オルトは下へ降りていく。
【もっと もっと……】
【深いところまで……】
まるで誘うように、声はオルトを地下へと導く。
青い炎が点在する廊下を歩き、ファントムが凍結されている部屋を抜けて。
【もっと暗くて 寒い 地の底まで……】
そうして降り立ったのは、『冥府』の最深部。
不気味な船や生き物のオブジェが飾られた『タルタロス』へ。
「ここは…………」
オルトが降り立つと、『タルタロス』から笑い声が聞こえてくる。
まるで歓迎しているような、自分から捕まりに来た獲物を馬鹿にするような笑い方で。
「……そこに、いるの？」
【うん】
【君が生まれる前からずっと……】
声はそういうも、次には小さく笑いながら言った。
【でも 寂しくなかったよ】
【ここにはたくさん】
【友だちがいるから】
「友……だち？」
【僕は 君に…… ううん】
【世界中のみんなに】
【僕たちの友だちになってほしいんだ】
【そうすれば――】
【この
【兄ちゃんは 自由になれる！】
――兄ちゃん。
その呼び方をする者を、オルトは１人しか知らない。
「“兄ちゃん”って……君はまさか……っ！」
オルトが声の正体に気付いた直後――――ブチッ、と視界が真っ黒に染まった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 141人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
時間の止まったリス - ついに今日ツイステ、新しい章の解禁ですね! 続編も楽しみにしてます! 夢主ちゃんの毒舌には毎回笑ってしまいますwww (2022年3月3日 7時) (
レス) id: d39a98933d (このIDを非表示/違反報告)
ブロッサム(プロフ) - ありがとうございます(*≧∀≦*) (2022年2月13日 19時) (レス) id: 9aaad4e273 (このIDを非表示/違反報告)
時間の止まったリス - い、いま、全部読んだんですが、最高すぎます！！！ 毎日読ませていただきます(上から目線っぽく感じてしまったら本当に申し訳ありません)！！ (2022年2月13日 19時) (レス) @page5 id: d39a98933d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ブロッサム | 作成日時：2022年1月19日 20時
