【ツイステ】魔に愛された少女はねじれた世界を生きる3 (ページ26)

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InterludeⅡ ページ26

オンボロ寮に戻り、エースたちは夕食を済ませた後も決闘に向けての作戦会議を繰り広げている。
あーでもこーでもないと語る彼らの顔つきは真剣で、夜食用としてバケットサンドを作っておいた。

今も談話室で作戦を立てる彼らの姿をドアの隙間から覗いて確認し、私は部屋に戻る。
いち早く部屋に戻ったグリムは首輪をかけられていても熟睡しており、意外と豪胆だなと思った。

「あ、そうだ。あの日記……」

色々あって忘れかけていたが、例の日記を開く。
この前書かれたページを捲ると、また白紙のページだ。しかし、そのページもすぐに文字が浮かび上がった。

『こんにちは、日記さん。
　今日は女王様の国を出たわ。おかしな人たちがいた国だったけど、とてもいい国だったわ。
　でも……女王様があのおかしな法律で国を縛る限り、ずっとここで暮らすのは無理だった。

　彼女は反論も正論も口答えも許さず、自分が正義と定めた法律しか信じない。
　法律をきちんと守っていればとてもいい人なのだけど、くだらない理由で首をはねる横暴さは一生理解できない。

　本当は、女王様と仲良くしたかった。『なんでもない日』のティーパーティを楽しみたかった。法律関係なく、普通の友達になりたかった。
　私って子は、本当にどうしようもない臆病者でいくじなしです。
　ああ、また長い旅が始まる。一体どこに行けば、私が求める居場所が見つかるのかしら。

　追記
　そういえば国を出る前、女の子が迷い込んで、女王様に裁判をかけられていたわね。
　あの子は無事にお家に帰れたのかしら。それだけが心残りです』

可愛らしい文字で綴られる、後悔と渇望。
女王様と仲良くできなかったこと、自分が求めている場所が見つからないこと。
短くても、胸が絞めつけられるほど悲しい。

「……普通の友達、か」

今も談話室で話し合うエースたちが思い浮かぶ。
出会いは最悪だったけれど、こうして寮に泊まらせてあげるくらい仲良くなった。

なら……ローズハート先輩は？
母親が関わっていない友達が、彼にはいるのだろうか。

もし、彼が決闘に勝っても負けても暴君のままだったら。
私は――友達になってほしいと言えるの？