【ツイステ】魔に愛された少女はねじれた世界を生きる3 (ページ24)

今日:47 hit、昨日:33 hit、合計:351,888 hit

＊ページ24

「でも私は両親に家族として認められようと、勉強もスポーツも習い事も頑張りました。……ですが、彼らは私をさらに疎み、兄も姉も自分より優秀すぎる私を気味悪がりました。そして……妹からは私なんか生まれてこなければよかったのにって言われました」
「そんな……」
「その時、私は思い知りました。家族は私を消したいほと嫌っているのだと。全てを悟った私は“家族だった”彼らと縁を切る道を選び、成人するまでの間、『仲良し家族ごっこ』をしてました。そして……この学園に来て、ようやく自由になれました」

愕然とする俺を余所に、Aは澄んだ瞳で俺を見つめる。
夜空色の中にある虹色の輝きから目を逸らせない。

「でも……私は本当の意味で家族と仲良くしたかった。彼らを愛したかった。でも、家族がそれすら望んでいないから、私には決別しか選択肢がなかった。……だからこそ、私はローズハート先輩が羨ましい。虐待に近いことをされてなお、母親を愛していられる彼を」
「A……」
「私のしたことはあなたと同じ“逃げ”です。本当ならば、あなたにあんなこと言える資格すらなかった。なのに……私は……」
「…………いや、そんなことはない」

悲しげに顔を歪ませるAを見て、俺はすぐに否定する。

「お前の“逃げ”は、俺の“逃げ”とは違う。お前は永遠にわかり合えないからこそ選んだが、俺はわかり合えるはずなのに自分が楽するために選んだ。……お前は強いよ、俺よりも」

家族と絶縁するなんて、普通出来ない。
俺だって家族は好きだし、死ぬまでずっと仲良くしていたい。

でも、彼女にはその選択すら与えられなかった。
家族から一方的に切り捨てられ、和解の機会も奪われた。

決別しか道がないと知ってなお、彼女はその道を選んだ。
それがどれだけ勇気のいる行為なのか想像できない。

「――トレイ先輩」

その呼び方に我に返る。
たった1日しか呼ばれてないのに、この呼び名はひどく懐かしい。