＊ ページ22
「ありがとうございます」
「いえいえ、当然のことをしただけです」
受け取ったばかりのマジカルペンを左胸ポケットに入れ、戦う気満々の2人と向き合う。
「無鉄砲に行っても勝てない相手よ。作戦を立てましょう」
「だな。ってわけで、何かいいアイデナない？」
「うーん。正直魔法では寮長に勝てるイメージが湧かないな。でも、拳でなら勝てるかもしれない」
「確かにアイツ貧弱そうなんだゾ！」
「おっと、言い忘れてました。この決闘では魔法以外の攻撃は使用禁止ですからね」
いや、それ先に言いなさいよ。
デュース固まっちゃってるじゃない。
「はっはっは！ルールを守って楽しい決闘！」
「決闘にルールも楽しいもないでしょ」
「決闘手続きは明日には終わっていますので挑むタイミングはご随意いに。では、これで」
私のツッコみをスルーした学園長は、件の小説の新刊を借りて図書室へ出て行く。
本当にブレないわね、あの人。
「よ、よーし！魔法にはちょっと自信ないけど……何とかなるっしょ！」
「お、おう！」
「オレ様の首がかかってんだから！きばるんだゾ！」
「お前たち……」
まだ信じられない目を向けるクローバーさん。
無計画だが、彼らはどんな手を使っても止まらない。
「オレが寮長になったら、ぜってぇ『ボクは間違ってましたゴメンナサイ』って言わせてやるからな！あと変なルールで寮生をがんじがらめにするのも辞めさせてやる！」
それでも、彼らがやる気に満ちていた。
ただの自棄ではなく、本心から挑むことを選んだ。
なら、ここで邪魔をするわけにはいかない。
「クローバーさん。何を言ってもエースたちは止まりません。これは、彼らの問題です」
「だが、リドルに勝つなんて絶対に無理だ。あいつがどれだけすごい奴なのか知ってるだろ？」
「知ってます」
「なら……！」
「――少なくとも、逃げ続けたあなたより強いですよ」
その一言に、クローバーさんは傷ついた顔をした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 324人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ブロッサム | 作成日時：2020年11月9日 23時
