【ツイステ】魔に愛された少女はねじれた世界を生きる11 (ページ50)

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「寮生集合！休憩時間は終わりだ！さあ、さっさと隊列を組め！」

そう命令して自分は再び象の背に乗るのを見て、ついに寮生の口から不満が零れた。

「ジャミル先輩。俺、俺……やっぱりもうこんな寮にはいたくない」
「僕も、もう寮長には従えません！」
「ジャミル先輩はなぜあんなカリム寮長に従うんですか！？」
「それは……アイツが『カリム・アルアジーム』だからだ」

苦々しそうに言うジャミル先輩の言葉に、私は納得した。
彼は熱砂の国の大富豪の跡取り。金と権力があり、どんなものも手に入る存在。

そんな家に使えるからこそ、ジャミル先輩はカリム先輩の命令に従う。
……まるで呪いのようだ。

「小さい頃から主従関係だから、ですよね？」
「……それも理由のひとつでもある。…………今日の夜、少し話をしよう。カリムには気づかれないように俺が手を打っておく」

ジャミル先輩の提案に寮生たちは渋々従い、再び行進を始めた。

夜になり、私たちは談話室に集まっていた。
今日1日カリム先輩はあの調子で、ほとんどの寮生が疲弊していた。

「……みんな、集まってるか？」
「はい。……カリム寮長は？」
「寝たよ。安眠効果のあるハーブティーを煎じたからいつもより深く眠っているはずだ」

それを聞いて安心したのか、質問した寮生の口から安堵の息が漏れた。

「――で？なんなんだゾ？オレ様たちに話って。もうオレ様、ヘトヘト……。一刻も早く寝かせて欲しいんだゾ」
「みんな同じくらいキツいんだ。静かにしてろ」
「すみません」

余裕がないせいで苛立っているのか、キツい口調で諫める寮生に謝罪する。
寮生も私が頭を下げたのを見てはっとしたのか、「……いや、こっちこそごめん」と言ってくれた。

「お前たちがカリムのやり方に不満があるのはわかってる。冬休みに寮生たちを寮に縛り付け、朝から晩まで過酷な特訓。不満を持たないヤツはいないだろう。俺もカリムのやり方が正しいとは思ってない」
「じゃあ何故止めないんです！？」
「止めたさ、何度も。聞く耳を持ってもらえなかったけどな」

ジャミル先輩の話に寮生が怒鳴るも、彼は困った顔をしながら肩を竦める。
それを見て、グリムが呆れたように言った。

「オマエら、そんなにブーブー言うなら、ジャミルじゃなくてカリムに直接文句言ってやればいいんだゾ」
「それは………………その…………」