EPISODE1-20.5 遊びに来てください！ ページ9
今日もちやほやされているグリムとゴーストを置いてきた私は、メインストリートを歩いていた。
メインストリートのカボチャ細工やキャンドル、オーナメントはとても綺麗で、まるで遊園地みたいだ。
(最も、私は遊園地なんか一度も行ったことないけどね……)
元の世界の学校では安全面や衛生面にうるさい保護者が多かったせいで、遊園地や動物園などの場所へ行くことはなかった。
許容範囲で行くとすれば、美術館や博物館程度だ。
「ん？あれって、エペルとリドル先輩……？」
背丈の近い2人は遠目で見たらお人形さんのように可愛らしいが、その内面を知っている身としてはなんだか複雑になる。
笑顔で談笑している2人に、私は頭を下げながら近寄った。
「ハッピーハロウィーン、エペル、リドル先輩」
「あ、Aサン！ハッピーハロウィーン」
「ハッピーハロウィーン、A。……おや？グリムはどうしたんだい？」
「グリムならオンボロ寮のゴーストたちと一緒にキャーキャー言われてますよ。全然反応ないから置いてきました」
2人はゴーストたちがアップしたマジカメを思い出したのか、納得の表情を浮かべた。
「ところで、2人は何をしているんですか？」
「大したことじゃないよ。こんな派手なハロウィーン、地元じゃなかったって話をしてたんだ」
エペルの地元って……かなり遠い田舎のほうだったわね。
都会のハロウィーンと比べても仕方ないだろう。
「しかし、キミの地元はあまりハロウィーンを祝わないのかい？ツイステッドワンダーランドでは珍しい」
「なにもしないわけではないんです。家でのパーティーは毎年やっていました。でも、ハロウィーンを祝うといよりは林檎を収穫する前の景気づけ、って感じですね」
「収穫祭の前夜祭的な感じかしら？」
「うん、それに近いかも」
私のたとえにエペルは頷いた。
「近所の人や親戚で40人くらいがうちに集まって賑やか……というか、やかましくなっちゃうんですけど」
「いいじゃない。そういうのは地域ならではの特権よ」
元の世界じゃハロウィーンはどうでもいい行事だったし、家でもロクに祝うことはなかったから少し羨ましい。
そんな会話をした直後、リドル先輩が目を見開いた。
「ホームパーティーでそんなに人数が集まるのかい！？テーブルセットが大変そうだ……」
「いえ、机に料理をざっと並べて、みんな立ったまま食べるから大した準備はしてないです」
「なるほど、立食形式のパーティーということか」
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作者名：ブロッサム | 作成日時：2021年6月27日 19時
