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その会話が聞こえてきたのか、ヴィルは答えた。
「確かに、アタシの美貌が一過性の話題のためだけにマジカメで消費されるのはごめんよ。でも……これぐらいの誠意は見せないと来てくれた人たちに失礼だわ。みんな賢者の島の外から時間とお金をかけて来てくれてる。
その努力に応えるのにアタシが芸能人かどうかは関係ない。ナイトレイブンカレッジの生徒として……そして、ハロウィーン運営委員長として!うちに来てくれた人たちが満足して帰れるようにアタシは全力を尽くすわ!」
「「「ヴィ……ヴィル様〜〜!!!」」」
ヴィルのその言葉に感銘を受けたお客は、誰もが涙を流した。
「今日でますますファンになりました!特集されてる雑誌全部3冊ずつ買います!」
「次の映画絶対に見ます!」
「コラボ商品全部買います!」
「あら、みんな……ありがとう」
お客たちの言葉に感謝を伝えるヴィルを見て、トレイは腕を組みながら言った。
「芸能人かどうかは関係ない、か。……本当に自分の宣伝じゃないんだよな?」
そう訊いてみるが、肝心の本人はお客の対応で忙しい。
「キミたち、このロープからはみ出さないように並んでくれるかい?ヴィルが順番にサインして回るよ!」
「ルークくん、いったいいつの間にロープなんて持ってきたの?」
ルークはどこから持ってきたのか、ロープを使いながら案内までしている始末。
ワイワイと賑わう光景に、トレイは嬉しそうに言った。
「学園中がハロウィーンのお客さんで賑わってるな。『ハロウィーンウィーク』史上最大の集客数になるんじゃないか?ずっと準備してきた運営委員としてはたくさんの人に見てもらえて嬉しいだろう」
「うん。デュースちゃんも、みんなもすっごく喜んでるみたい」
「そりゃあいい。みんなハロウィーンを楽しみにしてたからな。ハッピーハロウィーンだ」
「うん、ハッピーハロウィーン♪」
トレイに笑顔を向けるケイトだが、すぐに神妙な顔つきで呟いた。
「ただー……ちょーっと、嫌な予感がするんだよねぇ」
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作者名:ブロッサム | 作成日時:2021年6月27日 19時