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「スマホを貸してくれる？」
「どど、どうぞ！」
「ありがとう。……ほら、もっと近くに寄らないと画面に入らないわよ」
そうして、まだ目を丸くしている男性と笑顔で写真を撮ったヴィル。
撮影後、男性は信じられないとばかりに呟く。
「ヴィヴィ、ヴィル・シェーンハイトが……僕のためにドアを開けて、僕のスマホを手にとって……僕を引き寄せて2ショットを撮ってくれた！もう一生肩洗わない！」
「トップモデルなのに、なんて気さくな人なんだろう」
危ない発言をした男性の近くで、女性は感心したように言う。
それを見て、ルークはいつもの調子で言った。
「おお、ヴィルの寛大な対応にみんなが涙している！鏡の間も、ヴィルも、それに感動する人々もみな美しい……なんて素晴らしい光景だろう。ねえ、薔薇の
いつもの調子でトレイのあだ名を言った直後、お客の視線が自然とトレイのほうに向いた。
「薔薇の
「眼鏡かけてるし、帽子かぶってるし……もしかしてヴィルの友だちの芸能人が変装してるんじゃ……」
「無駄にお客さんたちの期待を煽っている……ルーク頼む、その呼び方はやめてくれ」
「ハッピーハロウィーン！さあ薔薇の
「やめないならせめて人がたくさんいるところでは小声で頼む……！」
完全に誤解されたトレイが苦言を呈するも、ルークは涼しい顔をするだけ。
さすがのトレイも見過ごすわけにはいかず、必死な表情でそう懇願するがそれが聞き届けられているからわからなかった。
「やっほ〜薔薇の
そこでわざと怒りを買う真似をしたケイトに、トレイは口元を引きつらせた。
「ケイト……怒るぞ」
「はははっ、冗談だって。てか、すごい騒ぎだね。ヴィルくん、マジカメで騒がれるの嫌って言いそうだから様子を見に来たけど……意外と大丈夫そう」
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作者名：ブロッサム | 作成日時：2021年6月27日 19時
