EPISODE2-8 優しい小鬼ちゃんだね ページ33
No side
「ああ、よかった……マジカメモンスターがいなくなった」
「お前たち、なにがあったのか洗いざらい話してもらおうか」
無事マジカメモンスターを追い出せてほっとするサムの横で、トレインが険しい顔つきでスカラビア寮生たちを見る。
未だ苛立っているジャミルの隣でカリムは口を開いた。
「それがさあ……」
「アイツら、どこでもお構いなしにポイ捨てするんです!」
「「ポイ捨て?」」
「ゴミ箱の周辺を見てください」
ポイ捨てという単語に2人が首を傾げると、ジャミルは設置されているゴミ箱のほうを指さした。
「ふむ、ゴミ箱の周辺……うっ!すごい悪臭だ!!甘ったるい香りの中にツンとすえた腐臭が混ざっている……」
「捨てられているのは……ミステリーショップで売っている『ナイトレイヴンカレッジワッフル』じゃないか!」
ゴミ箱の中にあるワッフルを見て、サムは目を見開く。
しかも数は1個や2個どころではなかった。
「Wack…ゴミ箱から溢れかえって地面や草木の中にもたくさん捨てられている。ナイトレイヴンカレッジの林檎をジャムにした特製ワッフルだったのに……一体なにが悪かったんだ!?」
「問題は味ではありません。マジカメモンスターはただ可愛いワッフルの写真を撮って、マジカメに上げたかっただけ。食べるためにワッフルを買ったんじゃないんです。だから、写真を撮った後は『今お腹いっぱい』『持ち歩くの面倒くさい』と言って……すぐにワッフルを捨てる!」
「食べ物を粗末にするとはなんと罰当たりな奴らだ」
ワッフルが捨てられた理由を聞いて、トレインは嘆かわしいとばかりに言う。
食べ物を食べずに捨ててはいけないことは、世界共通の常識だ。
その常識すら捨てたマジカメモンスターに、さすがのトレインも憤りを感じた。
「じゃあジャミルくんは、捨てられたワッフルのために怒ってくれたのかい?優しい小鬼ちゃんだね。ありがとう……」
「違います!!」
感慨深く伝えたサムのお礼を、ジャミルは一喝した。
「腑抜けたことを言っている場合ではありません。食べ物を捨てると…………“ヤツ”らが出る!」
「「やつら……?」」
2人が首を傾げた直後、ゴミ箱でカサカサ……ッと音がする。
その音の発生源は――大小さまざまな虫だ。
「うわ―――――ッ!!出た!“ヤツ”だ!」
「やつって……」
「もしかして、捨てられたワッフルに集まっている虫のことか?」
「そ、そ、そうです!!!」
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作者名:ブロッサム | 作成日時:2021年6月27日 19時