EPISODE2-4 俺は忠告したぜ？ ページ26
No side
ジャックとラギーによってマジカメモンスターたちは会場から追い出された。
いなくなった獲物たちに、レオナは舌を打つ。
「チッ、逃げたか。命拾いしたなァ。……今度会ったらソテーにして食ってやる！ガルルルッ」
「落ち着け、キングスカラー。一体なにがあったと言うんだ」
バルガスが唸るレオナを宥めながら尋ねると、そばにいた寮生たちが声を上げた。
「寮長は悪くねえ！先にちょっかいをかけてきたのはあっちだ！」
「そうだそうだ！」
「奴ら、俺らのハロウィーンの展示品を勝手にいじくりやがったんすよ！」
「なに？展示品を荒らされたということか？」
会場の展示品に触れるのは基本的にＮＧだ。
生徒が丹精込めて作ったものを壊されては、せっかくのハロウィーンが台無しになってしまう。
「それは確かに客も悪いが……一体なんのためだ？」
「理由はこのスマホを見ればわかります。さっき見つけたネット記事です」
「ん？なになに……『なんでも願いが叶っちゃう！？ナイトレイブンカレッジの海賊船のウワサ！』……なんだこれは」
「ナイトレイブンカレッジにある幽霊船は昔々全ての願い事をかなえた伝説の海賊の船で……その海賊の宝物を身に付けた写真をマジカメにアップすると、海賊ゴーストのパワーが宿る。んで、そのパワーのおかげで写真を撮った人の願い事が叶っちゃう！……だそうです」
ジャックの話を聞いて、バルガスは頭痛をこらえる顔をした。
そもそもこの幽霊船も宝物も全部寮の手作りだし、そんな伝説もパワーもない。
「んなわけぇだろうが。アイツら全員頭空っぽか？」
「もちろん全員が全員、こんな噂話を信じてるわけじゃないんでしょうけど……流行ってるから、とりあえず乗っといてマジカメに写真をアップしたいんでしょーね」
「飾ってたレプリカのアクセサリーを勝手に付けてパシャパシャ写真を撮って……用が済んだら、適当なところにポイッ。会場がめちゃくちゃだ。許せねえ！」
「展示物のガイコツ船長に着せてた服を引き剥がして着た写真を撮るヤツまで出てきやがった！」
展示物に手を出され憤る寮生に、さすがのバルガスも冷静になった。
「な、なるほどな……お前たちにも理由があることはわかった。しかし、それならば口頭で注意すればいいだろう。お前たちが鍛えてきた筋肉は、魔法士として大切な財産！みだらに振りかざしてはいかん！」
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作者名：ブロッサム | 作成日時：2021年6月27日 19時
