検索窓
今日:20 hit、昨日:11 hit、合計:16,609 hit

EPISODE1-23 糸紡ぎより容易い ページ16

No side

いつものように駄犬(という名の問題児)を躾ける気満々のクルーウェルを止めたのは、さっきまで頭を痛ませていたトレインだった。

「待ちなさいクルーウェル先生。教鞭を振り上げて、一体どうするつもりだ?」
「決まっているじゃありませんか。彼らに、常識というものを教えてやるんです」
「一般人に向けて魔法を放つつもりか!?」
「ご心配いただかなくても怪我などさせませんよ」
「そういう話をしているのではない」

クルーウェルの言葉に、トレインは首を横に振った。

「魔法士が一般人に対して魔法で攻撃したと世間に知られれば、なんと言われるかわからない」
「こういうときに使わないで、なんのための魔法だ。彼らの安全のためでもあるんですよ!」
「ならば彼らが足を滑らせてから風の魔法で助けてやればいい。たとえ安全のためであっても、先に手を出したら後からなんと言いがかりをつけられるか」
「……若者を指導するのは教師の役目かと思いますが?」
「我々が指導するべきなのはナイトレイブンカレッジの生徒だけです。とにかく、我が校の名に傷をつけるような軽率な真似はやめていただきたい」
「チッ。トレイン先生は本当に頭が固い……」
「今なにか、言いましたか?」
「いいえ?なにも申しておりません」

何故か一触即発は雰囲気を出し始めるクルーウェルとトレイン。
それを見たバルガスが腕を組む。

「ふうむ。トレイン先生とクルーウェル先生はいつも意見が衝突するなあ」
「ベテランでコンサバなトレイン先生と若くてヤンチャなクルーウェル先生……バトルが起きても致し方なしだね」
「どちらもいい先生だとは思うが……2人とも、重要なことを見落としている!」
「ん?」
「大切なのは……筋肉!ここは筋肉で話をつければいい!」
「「「……」」

バルガスの言葉に全員が黙り込むが、同じ感想を抱いていた。

――今、筋肉関係ねぇだろ、と。

「先生たちも対応しようがなくて困っているみたいだわ。学園長、一体どうするの?」
「えーっと……え、え―――っと……先生たち、落ち着いて!それから……木に登っている貴方たちもです!」

数秒ほど長く思考したクロウリーが、教師とゲストに向けて声をかけた。

「早く木から降りてください!さもないと…………学園の防犯システムが、貴方がたを『危険人物』と認定して、学園の外に放り出します!」
「防犯システム……?」
「そんなものありましたか?」

*→←*



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (14 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
26人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ブロッサム | 作成日時:2021年6月27日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。