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クルーウェル先生の話を聞いて、私は納得した。
賢者の島の人たちは本当に優しい人ばかりで、町に行くといつも笑顔で話しかけてくれる。
彼らに感謝を伝える機会を、このハロウィーンでやるってことなのね。
「スタンプラリーねえ。それでリリアはオンボロ寮を飾り付けてたのか。お祭りって感じがして、すげーんだゾ!」
「なーに今更驚いてんだか。“ハロウィーン運営委員”から事前に話聞いてんだろ」
「へ?運営委員?」
「なにそれ?」
「ハロウィーンをスムーズに進めるために各寮で係の生徒を出すことになっている。学園長から話があっただろう?」
「聞いてないんだゾ」
「なんだと!?」
グリムの答えに、クルーウェル先生が驚きの声を上げ、私のほうを見た。
「……A。まさかお前も聞いていないのか?」
「初耳です」
「……なるほど。もしや学園長、オンボロ寮に声をかけるのを忘れたのか?」
「あの人どんだけうっかりしてんだよ!」
「単純に忘れてただけよ。……あのカラス、本当に焼き鳥にして食ってやろうかしら」
バスケットから出刃包丁を取り出した私に、周りのクラスメイトは悲鳴を上げる。
完全に殺る気でいる私を見て、エースが「物騒だからしまえ!」と言って出刃包丁を取り上げられたから取り返そうとしていると、デュースが間に入った。
「あっ、でも心配しなくていいぞ!Aもグリムも『ハロウィーンウィーク』のことでわからないことがあったら僕に聞くといい」
「なんで?」
「だって……僕は、今年のハロウィーン運営委員なんだ!」
あら、まさかのデュースが運営委員?
てっきりトレイ先輩あたりが選ばれると思ってた。
「いばんなよ。くじで決まっただけだろーが」
「うるさいぞエース。運でも、ローズハート寮長は『頑張れ』って言ってくれたし……。ナイトレイブンカレッジの、伝統あるハロウィーン。絶対に成功させるんだ!」
「そう、頑張ってね」
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作者名:ブロッサム | 作成日時:2021年6月9日 15時