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「あっ、あっちにも狼男!」
「え?カリムくんの他にスカラビア生なんていたかな」
きょろきょろと周辺を見ても、それらしい人物はいない。
「……?……もしかしてオレのことッスか!?」
そこでようやく気付く。
男性の言う狼男が、ラギー自身であることに。
「そうです。一緒に写真撮ってくださいっ」
「コレは仮装なんかじゃないッスよ。それにオレは狼じゃなくハイエナッス!」
「まあまあ、固いこと言うなよラギー。似たようなもんだろ?一緒に写真撮ろうぜ!」
「全然似てないし!しかも、観光客相手に0マドルでボランティアとかオレの主義に反する……あっ!」
そこまで言って、ラギーは悪い顔をしながら言った。
「マジカメ映えっていうならオレなんかよりもっといい被写体がいるッスよ〜。シシシッ。ガタイ良くて迫力があってなんと言っても由緒正しいお育ちの……」
そこまで言ってラギーはようやく気付く。
被写体という名の生贄……レオナがいないことに。
「ってあれっ!?レオナさんがいない!?」
「くくっ……よかったなラギー、人気者じゃねえか」
「いつの間にそんな遠くに……置いていくなんてずるいッスよレオナさん!」
「俺は必要なもん買って先行くぜ。お前はそこで思う存分ゆっくりしてろ」
「ちょっ、人と話すのが面倒だからってオレをおとりにしないでくださいよ!」
「テメェこそ俺を餌にしようとしてただろうが。自業自得だ」
ぐっと言葉を詰まらせるラギーに、レオナは妖艶な笑みを浮かべながら言った。
「じゃあな。ハッピーハロウィーン」
そうして購買部内へと入ったレオナ。
見捨てられたラギーが呆然とする横で、カリムが話を先に進める。
「せっかくだし、オレもラギーと写真撮りたいな。あとでオレのスマホでも撮ってくれ」
「がおーってポーズしてください!」
「2人でお店を背景に並んでもらっていいですか?」
「次は俺たちも写真撮らせてください!」
次々とリクエストしてくる客に、カリムは笑顔で受けるもラギーは戸惑うばかり。
「キ、キリがない……。待ってくれー!オレのタダ飯ーッ!」
そんな彼の悲痛な叫びは、購買部全体に響き渡るのだった。
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作者名:ブロッサム | 作成日時:2021年6月9日 15時