EPISODE1-9 すっげー案じゃねえか ページ23
運営委員一同が次にやってきたのは、購買部。
普段のミステリアスな外観はなく、屋根には熱砂の国の絨毯、木には瀟洒なランタン、さらには普通なら使わないボロ布も飾られていた。
「そろそろ来る頃だと思っていたよ。学園長、みなさん、ゆっくりスカラビアのハロウィーンをご覧ください」
購買部には寮服のジャミルがおり、彼は従者としての態度でお辞儀をした。
その言葉に甘えて、購買部周辺を見た全員が各々感想を言う。
「ミステリーショップがボロボロになっています」
「まるでAさんのオンボロ寮のようですね」
「それ、Aサンが聞いたら怒ってますよ……」
正直、ここにAがいなくてよかったとエペルは心底そう思った。
「もちろん本当に壊したわけじゃないぞ。つぎはぎの布で、購買部を覆っているだけだ」
「飾りも衣装も寮のみんなで決めたんだ。楽しかったぜ!」
「仮装はできたか?パーツの付け忘れはないな?」
「おう!大丈夫」
2人がいつものトークをすると、仮装に着替え終わったカリムが登場する。
「オレたちスカラビアの、今年の仮装は……“狼男”だ!」
カリムの狼男の仮装は、熱砂の国の衣装を改造したもので、ターバンの裾には金のコイン飾りがついている。
メイクにも模様を施し、髪と同じ色をした付け耳と付け尻尾をつけて、本格的なデザインをしていた。
「狼男……!満月の魔力に取り憑かれた狼の獣人がなると言われてる、モンスターっすね!俺の地元じゃ、よく『夜ふかしすると狼男になっちゃうぞ』って言いますよ。北国特有の伝承だと思ってたんで熱砂の国っぽいアレンジが新鮮っす」
「へへ、狼の獣人属であるジャックに褒められると嬉しいな!……あっ、そうだ!がおーっ!」
ジャックに褒められて笑顔になるカリムは、突然遠吠えをした。
「……どうだ。狼っぽかったか?迫力出てただろ」
「え、その……どっちかっつーと……」
「非常に人懐こい様子に心が温かくなりますねぇ」
「ええ。まるで動物園のふれあいコーナーを訪れたかのようです」
「え〜〜、メッチャ可愛い〜〜!!カリムくん今のもう1回やってよ。動画で撮ってマジカメにアップしよ☆」
「えー、可愛いかあ……オレとしては『怖い』って言って欲しかったんだけどな。もっと怖くなるようにあとで練習しておくようにするぜ!」
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作者名:ブロッサム | 作成日時:2021年6月9日 15時