＊ ページ34
「……！アンタね、キャンプを襲ったバケモノは」
茂みから出てきた巨大な影。
それを見て、ヴィルはアズールから貰った魔法石を握り締める。
「捕まえられるものなら……捕まえてみなさい！」
そう言った直後、ヴィルとその周辺が光に包まれる。
その光景をアズールとジェイドは目を細めながら見つめていた。
「向こうで大きな光が見えました。作戦開始ですね」
「ええ。それにしても、トレイさんもよく考えたものです。襲撃者は暗闇の中を襲ってきた……ということは、暗闇に目が慣れきっている状態のはず。そこでヴィルさんが閃光の魔法を放てば、襲撃者の目を強烈に眩ませることができます」
「襲撃者の足止めと、作戦開始の合図をひとつの魔法で兼ねるとは。効率のいい戦い方ですね」
その時、ちょうどキャンプ場から去る人影を見つけた。
「アズール。ヴィルさんがこちらに来ますよ。作戦の“ステップ1“は成功のようです」
「ええ……しかし、ヴィルさんがいてくれて本当によかった。襲撃者の攻撃をかわしながら、僕たちが追いつけるようにジグザクに走り続けるなんて……早朝ランニングで鍛えているヴィルさんがいなかったらと思うと、ぞっとします」
「とはいえ、速力の差は歴然。“ステップ2”、湖まで並走しつつ、魔法でヴィルさんを援護しましょう」
「ふふ。授業以外で走るなんて普段ならまっぴらごめんですが、今日は本気でいきますよ。なにせ、ヴィルさんが2日間『モストロ・ラウンジ』で働けば、スムージーも含めて売り上げ増は確実……その上……トレイさんの製菓の技術を5日間も使い放題！！！トレイさんの作る、クオリティの高い菓子を提供できれば、お客殺到間違いありません！」
高らかに叫びながら喜びを見せるアズールに、ジェイドは面白そうに見ながら笑う。
「ヴィルさんを本命のように見せておきながら、本当の狙いはトレイさんの労力だったとは……ふふふ。先輩方が真の狙いに気付かず、よかったですね」
「ええ。こんな千載一遇のチャンス、絶対に逃しはしません！」
常日頃から狙っていたトレイの製菓技術ゲットのチャンスを前に、この守銭奴が逃すはずはなく。
このキャンプで一番のやる気を出すアズールを見て、ジェイドは愉しそうに笑いながら続いた。
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ブロッサム(プロフ) - 修正しました。ありがとうございます。 (3月7日 15時) (
レス) id: ec16017b1d (このIDを非表示/違反報告)
ミア - 訂正があります。27ページのトレイのセリフの夢主の名前が変わっていませんでしたよ。 (3月7日 14時) (レス) @page26 id: d363e1b9e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ブロッサム | 作成日時：2024年2月26日 23時
