＊ ページ20
「こ……こわいんだゾ〜……」
「よしよし……」
怯えた演技をするグリムを見て、私は彼をだっこして抱きしめながら頭を撫でる。
『恐怖で震えるグリムを落ち着かせる』演技は、こんな感じでいいかしら？
「でも、その黒い影っていうのはいったい……あっ！？……いや、まさかな」
「トレイくん、心当たりがあるのかい？」
「ああ。数日前に、運動部の生徒がキャンプから帰ってきたとき……エースとデュースが、キャンプの時に“バケモノ”と戦っただなんて言い出したんだよ。
俺たちは2人が疲れすぎて変なものを見たんじゃないかと軽く流して、信じていなかったんだ。ただ、もしその“バケモノ”が見間違えじゃなく、まだこの山にいたのだとしたら……」
「バケモノか……」
「こんなことならエースとデュースの話をちゃんと聞いてやれば良かったな……」
もしかして……バケモノをあの鉱山の怪物と一緒にしてる？
でも、これは良い流れかもしれない。
「グリム。その黒い影っていうのは、どんな姿だった？」
「え、えっと……」
「一瞬だったので……」
「わからなくても仕方が無い。ムシュー・毛むくじゃらも、トリックスターも、気が動転していたのだろう」
「ああ、それもそうか。グリム、A、お前たちも怖かっただろうにあれこれ聞いて悪かったな」
「き、気にしなくていいんだゾ」
「はい。むしろこんな情報しか与えられなくて申し訳ないです」
「とにかく、今はキャンプ場に戻って他の皆にもこのことを伝えた方がいいな。バルガス先生も歯が立たなかった相手だ、俺たちだけじゃ手も足も出ないだろうし……学園長を頼るとしても、来るのは早くて明日の朝だ」
「少なくとも今夜は、私たちだけでやり過ごす必要があるね」
「よし……行こう。みんな、周囲に気をつけながら進んでくれ」
2人は今の話をキャンプ場の全員に伝えるために、周囲を警戒しながら小屋を出る。
その背後で私たちはひそひそと話す。
「…………。……ふぅ、こんなもんか？どう答えるかわかんないことをいろいろ聞かないでほしいんだゾ」
「情報収集も大事ってことよ。それにしても、いい演技だったわよ」
「グリム、A？どうした？来ないのか？」
「い、いま行くんだゾ〜！」
とにかく、今は手筈通りキャンプ場でこのことを伝えなければ。
無事に乗り越えられるよう願いながら、私たちは2人の後を追った。
EPISODE5-4 怖かったんだゾ〜→←EPISODE5-3 ただごとではなさそうだ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 7人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「ツイステ」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ブロッサム(プロフ) - 修正しました。ありがとうございます。 (3月7日 15時) (
レス) id: ec16017b1d (このIDを非表示/違反報告)
ミア - 訂正があります。27ページのトレイのセリフの夢主の名前が変わっていませんでしたよ。 (3月7日 14時) (レス) @page26 id: d363e1b9e0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ブロッサム | 作成日時：2024年2月26日 23時
