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満月しか光源がない古城を走って、走って、走って……ようやくたどり着いたのは大きな図書館。
初等部から通っている学校より立派な内装をしているが、あの棺桶と同じようにふわふわと本が浮いている。
「夢なら醒めてほしいわね」
変な生き物に焼き殺さかける夢など、悪夢同然だ。
試しに頬を抓ろうとしたが、視界で青い炎が揺らめく。
「オレ様の鼻から逃げられると思ったか!ニンゲンめ!」
「こんなところまで追ってきたの?悪いけどこの服、明らかにあなたのサイズに合ってないから諦めなさい」
「うるせー!さあ、丸焼きにされたくなかったらその服を――ふぎゃっ!?」
ピシャン!と音とともにグリムが悲鳴を上げる。
暗くてよく見えなかったけど、あの細長い物体は……。
「痛ぇゾ! なんだぁこの紐!」
「紐ではありません。愛の鞭です!」
暗闇から出てくるように現れたのは、パピヨンマスクとシルクハットを身につけ、さらに鴉の羽根がついたマントを羽織った黒ずくめの男。
その出で立ちはまさに――。
「不審者!いや、変質者!」
「ちょっと失礼なことを言わないでください!」
思ったことを口に出せば、男から否定の言葉が吐かれた。
でも、一目で怪しいと思う出で立ちをしている向こうが悪い。
「ああ、やっと見つけました。君、今年の新入生ですね?ダメじゃありませんか。勝手に
「離せ〜!オレ様はこんなヤツの使い魔じゃねぇんだゾ!」
「はいはい、反抗的な使い魔はみんなそう言うんです。少し静かにしていましょうね」
鞭で捕まえたグリムを、慣れた様子で口を塞いだ男。
「ふがふが!」とグリムが叫ぶも聞き取れない。
「まったく。勝手に扉を開けて出てきてしまった新入生など前代未聞です! はぁ……どれだけせっかちさんなんですか。さあさあ、とっくに入学式は始まっていますよ。鏡の間に行きましょう」
「……新入生?」
色々状況が呑み込めなかったが、ここはどうやらどこかの学校みたいだ。
しかし、こんな立派な城みたいな学校あったかしら……?
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だしのもと - 威月さん» 作者様じゃなくてすみません。確かにジューゴに似てる… (2022年4月7日 17時) (レス) @page3 id: bbe118badb (このIDを非表示/違反報告)
威月(プロフ) - これから作品を読み始めるものです。設定を見てすこし思ったことがあってコメントさせていただきます。間違ってたらほんとにごめんなさいなんですけど夢主ちゃん、『ナンバカ』のジューゴを参考にしてますか?目についてや嫌いなものが一緒だったので……… (2022年3月29日 17時) (レス) @page3 id: 4af538b452 (このIDを非表示/違反報告)
ネコマタさんのちょびひげ - わああああ!!あのメイデーアだ!!(・д・ = ・д・)応援してます!!( ゚Д゚)ゞ (2020年12月29日 19時) (レス) id: d3a88c7d37 (このIDを非表示/違反報告)
ブロッサム(プロフ) - 感想ありがとうございます!結構書き残しとか修正とかで内容は変わる時もありますが、応援よろしくお願いします! (2020年10月27日 23時) (レス) id: d825f142fb (このIDを非表示/違反報告)
ウサリボン - ブロッサムさん» この小説大好きです。更新楽しみしてます。 (2020年10月27日 23時) (レス) id: 522e3de4a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ブロッサム | 作成日時:2020年10月26日 2時