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そうだ。
私の家族は、私が消えることを望んでいた。

彼らとの関係が永遠に修復できないと思い知ったあの日、私は家族との縁を切ることを選んだ。
まだ子供で成人するまでなにもできなかったけど、これはある意味幸運だ。

「…………どうやら複雑な事情をお持ちのようですね」
「ええ……すみません、せっかくのご厚意を」
「いいえ。ですが、もし貴方がこの世界に生きていくというのなら、戸籍云々の問題がありますが……それについては少し時間を置いてから話すことにしましょう」
「そうですね。……そういえば、ひとつ質問いいですか?」
「はい、なんでしょう?」

今まで気になっていたことを聞きだすため、私は挙手しながら言った。

「この学園……もしかして男子校でしょうか?」
「ええ、そうですけど……それがなにか?」
「私、生物学上女なのですけれど、その辺りはどうすればいいのですか?」

被り直したフードを外し、素顔を晒す。
服の中に隠していた髪も露わにすると、学園長は口をパクパクと魚みたいに閉じ開きした。

「あの……?」
「あ、あああああ貴方!女性なのですか!?女性の見た目をした男性ではなく!!?」
「生まれてこの方、男性として生きてないので間違いないです」
「ああ、なんてことでしょう!紳士である私が女性を男扱いしただけでなく、あまつさえあのボロ……いえ、趣のある寮へ連れて行こうとしたのですか!?ああ〜〜私はなんて罪深いことを〜〜〜〜!!!」

気のせいかしら……今この人、ボロいって言いかけた?
まあ、趣ある=ボロいは同義語だから間違ってないけれど。

「あの、別に気にしないでください。むしろいつか古民家に住んで自分好みに改築するのが夢なので、少しボロくても大丈夫です」
「ほ……本当ですか……?」
「この期に及んで嘘なんて言いませんよ」

家が洋風の屋敷だったせいで、和風の古民家のような家で住むのは憧れていた。
ここが西洋圏である以上、寮も洋風だろうが実家のような無駄な煌びやかさがなければ問題ない。

「そうですか!いやあなんてお優しいレディなのでしょう!それでは僭越ながら、私が寮まで丁重にエスコートしてあげましょう!いやあ〜〜私って本当に優しいですねぇ!」
「……………………」
「何故そこで無言になるのですか!?」

こういうのがなければ満点だったのだが、それは諦めたほうが早そうだ。

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だしのもと - 威月さん» 作者様じゃなくてすみません。確かにジューゴに似てる… (2022年4月7日 17時) (レス) @page3 id: bbe118badb (このIDを非表示/違反報告)
威月(プロフ) - これから作品を読み始めるものです。設定を見てすこし思ったことがあってコメントさせていただきます。間違ってたらほんとにごめんなさいなんですけど夢主ちゃん、『ナンバカ』のジューゴを参考にしてますか?目についてや嫌いなものが一緒だったので……… (2022年3月29日 17時) (レス) @page3 id: 4af538b452 (このIDを非表示/違反報告)
ネコマタさんのちょびひげ - わああああ!!あのメイデーアだ!!(・д・ = ・д・)応援してます!!( ゚Д゚)ゞ (2020年12月29日 19時) (レス) id: d3a88c7d37 (このIDを非表示/違反報告)
ブロッサム(プロフ) - 感想ありがとうございます!結構書き残しとか修正とかで内容は変わる時もありますが、応援よろしくお願いします! (2020年10月27日 23時) (レス) id: d825f142fb (このIDを非表示/違反報告)
ウサリボン - ブロッサムさん» この小説大好きです。更新楽しみしてます。 (2020年10月27日 23時) (レス) id: 522e3de4a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ブロッサム | 作成日時:2020年10月26日 2時

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