41 ページ42
.
あっという間にゲネプロは終了し、みんなはホワイエで取材を受け、本番を迎えた。
本番が終了し、掃除を済ませ、談話室へ行くと、いづみ姉が頭を抱えていた。
至と真澄の掛け合いの部分にまだいづみ姉は納得していない様子だった。
演技については私は全くの、ど素人で知識もないから、私には以前よりは違和感がないように思えた。
劇場を去るお客さんは満足そうな顔をして帰っていっていたし、私には十分すごいと思ってしまう。
でももしも、私が演技に対して身をもって学んでいれば、いづみ姉のように的確なサポートができるようになるのかもしれない、とも思った。
私はみんなを支えたい。
みんなの悩んでることが解決へと進むように手助けしたい。
でも、今のままじゃ、私は、十分なサポートができないのかもしれない…。
これから有名になっていく劇団を支えるには、
私自身のステップアップが必要なのかもしれない、
いづみ姉が悩んでいる様子を見て、私はそう思うようになった。
私は静かに談話室を出て、中庭のベンチに座った。
目を瞑ると、今日見た光景が一瞬にして広がっていった。
「…やっぱり、みんなはすごいな、」
心の声がつい漏れてしまった。
紬「…A？」
声の主の方を見ると、紬がこちらを心配そうに見ていた。
「紬、」
紬「おつかれさま」
紬はそういうと私の頭をぽんぽんと撫でて、隣に腰かけた。
紬「どうしたの？」
「…紬は、今日の春組の公演、どう思った？」
紬「んー、そうだなぁ…俺だったら、至さんと真澄くんのシーン、もうちょっと遊びたいかなぁ、」
……やっぱり、
「…そっか」
紬「？」
私も、その世界を知りたい…
「紬先生、私に演技を教えてください」
紬「え？！！どうしたの、急に」
「…私、」
紬は真剣な顔をして私の顔を見ていた。
私は紬の目を真っ直ぐ見て、こう言った。
「私、みんなと同じ目線でみんなのこと支えたい」
今の私の足りない所を紬に話した。
紬「今のままでも十分支えてくれてると思うけど…」
紬「もしAが本当にしたいと思っているなら、俺は手伝うよ」
きっとみんなも同じだと思うよと紬は言ってくれた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 112人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：桜 | 作成日時：2020年1月28日 1時
