半径1m立ち入り禁止！《２》 (ページ20)

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山田side

「山田。」

聞き覚えがある声が聞こえた。
ふと顔を上げると

「…大ちゃん」

なんでここにいるの。
裕翔くんは？置いてきたの？心配してくれたの？なんて聞きたいことはたくさんある。

だけど零れてきたのは言葉ではなく涙だ。

「お、おい。ここで泣くなよ。とりあえず中入ろ。な？」

少し焦り気味で大ちゃんに背中を押されながら大ちゃんの家に入る。

花火大会の日。決まって大ちゃんの親は仕事だ。だから家には俺と大ちゃんだけだった。

「どうしたんだよ。急に帰るなんて言って。しかも帰るって言ったくせに俺の家の前だし。」

確かに何も迷うことなく真っ先に来たのは自分の家でもなく大ちゃんの家だった。自分でも分からないのに俺の居場所を当てた大ちゃんはもっと凄いのではないか…なんて思いながら大ちゃんを見てたら

「…なんだよ」

って素っ気なく返された。
なんかいつもと少し違う大ちゃんを見てる気がして少し笑っちゃった。

「何笑ってんだよ(笑)」

「いやぁ、やっぱ大ちゃんだなぁって思って。」

「なんだよ、それ。俺は俺だよ」

ってしばらく笑いあった後。
聞いてみた。

「裕翔くん置いてきちゃったの？」

「あぁ。まあ大丈夫でしょ、今頃彼女さんと一緒にいるよきっと」

「そっか…って。え？裕翔くん彼女居たの？」

「え、うん。知らなかったの？彼女っつっても男だけどさ」

「え、知らない知らない知らない」

男であることはどーでもいい。ぶっちゃけ気にしない。え、でもなんだ？裕翔くんって大ちゃんじゃないの？は、え？

…あれは演技だったの？
それともただのクズなの？

いや後者はないだろう。うん。ない。

「山田。心の声出てる」

「え。あ、ごめん。」

「で、演技がどうたらってどういうこと？」

…しまった。
これは全て話すしかないのか…。
勇気を持って恐る恐る口を開いた。

「あのね、実はね」

最後まで聞いてよ。
少し長くなるかもだけど。
頑張るから。