半径1m立ち入り禁止！《２》 (ページ15)

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八乙女side

「うわぁ、めっちゃ人いるー」

「っあ！お兄ちゃん！！わたあめ売ってるよぉぉ！！！」

「花火の場所取り先がいいんじゃない？」

「お腹空いたぁ～！」

人混みでザワザワ周りがうるさい中、
俺の耳元ではキンキンと兄弟の言葉が広がっている。…あー、うるさい。

まずは場所取りしてそれから時間があったから綿あめを買った。

その間、頭の隅では探してしまった薮を頑張って消し去ろうと必死になってる自分がいた。

「ねぇお兄ちゃん、なんか焼きそばとか買ってこよ」

「あ。うん、…ちょっとみんなここで待っててよ、勝手に動くなよ？」

そうやって兄弟を場所取りした場所に残し、
俺と彩音で焼きそばを買いに行く。
その時だった。

"やぶぅ！金魚すくいやろ！"

"はぁ？"

"いいでしょ？お願い！"

"ったく…"

心のどこかで探してたけど見つけたくなかった人を見つけてしまった。

「あ、お兄ちゃんあれって薮宏太じゃない…え？」

「いいよ、ほら早く焼きそば買いに行くぞ」

心のどこかでは分かってたよ。2人が一緒に来てるって。でもそれを信じたくない自分が居た。彩音も伊野ちゃんが居るのに気付いて少し戸惑ってた。彩音が知ってる伊野ちゃんはもっと根暗な感じの"昔の伊野ちゃん"なのだから。

まさかその伊野ちゃんがライバルとは今でも自分でビックリする。

その時。

"まもなく花火が始まります。くれぐれも迷子にならないよう、ご注意ください。繰り返します。___"

と、花火大会開始のアナウンスがなった。

「あ、もう始まるよ。行こっか…」

そう言って前に進もうとしたら後ろにいる彩音に手を捕まえられた。

「やっぱダメだよ」

今にも泣きそうな消え入りそうな声で止められた。