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ページ48

『ちょ...何!?』
「A!?おま...生きてたのか!!」


電話先の彼ーー村田の声が途端に明るくなる。


「よかった!! あのFBI男間に合ったのか...こっちのことは心配すんな!!」
『え、ちょ...何が起こってるのか全く分からないんだけど...』
「あぁ、実は...」



赤井が流の汚職の証拠を抑えていたこと
その事を問い質す(脅す)途中、空砲を1発撃ったこと
その空砲で流が気を失ってしまったこと
発砲音で村田が勘違いし、赤井に銃を向けたこと
赤井が村田の事を流に味方する公安の残党だと思い、思い切り蹴りを入れてしまったこと。

そして今、村田が今回の騒動に関わった捜査官達の処理に追われていること。



その全てを、村田は凄まじい早口で説明した。



「お陰で今、脛に凄い大きい青痣が出来てんだよ...」
『ソ、ソレハタイヘンデシタネ...』


赤井をぎろりと睨む。
コイツ...手を出すなと言ったのに...!!


村田に平謝りをして通話を終え、ため息をつく。
すると、赤井はゆっくりと私の頬に手を当てた。


『え?』
「怪我をしている。」
『あ...』


赤井の指先についた赤い血をじっと見つめる。
さっき鉄パイプが落ちてきた時に掠ったのだろう。

赤井の手を払うように頬に自らの手を当てるも、赤井はその上からさらに手を当てる。

驚いて顔を上げると、赤井は反対側の私の頬にも手を当て、無理やり自分と私の視線を合わせる。


「もうすぐ君の仲間が来る。俺は消えるだろう。」


真っ直ぐと私を見据える緑色の瞳を驚いて見返す。


そうだ、彼はFBI
本当なら、公安という秘密裏に動く私達に関わってはならない存在なのだ。



『...あかーー「約束してくれ。」



「もう二度と、自分を蔑ろにする無茶はしないと」



そう言って、私を優しく抱きしめる。



「頼むから...な...」



煙草と赤井の香りが混ざりあって、私を優しく包み込む。



「逃げる場所が無いなら、2人で俺の所へ来ればいい。俺が君の全てを守る。もう何も奪わせない。」


信じられないくらい優しい言葉に、私の目から堰を切ったように涙が溢れ出す。

この不器用な男は、こんなにはっきりと言葉を口にする人間だっただろうか。


それだけ私は、ぼろぼろだったのだろうか。


『...うん、ごめん』



赤井にだけ聴こえるように小さな声で呟いた後、私はその大きな背中をぎゅっと控えめに抱きしめ返した。

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キャラメル(プロフ) - めっちゃ面白いです!続きが気になります!!更新頑張ってください^_^ (2020年5月25日 14時) (レス) id: b8ac5a9a04 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - ありがとうございます!更新したので是非よろしくお願いします〜! (2020年3月3日 17時) (レス) id: c49d02c4c7 (このIDを非表示/違反報告)
ココアパウダー(プロフ) - このシリーズほんとに大好きです!更新楽しみです! (2020年3月2日 16時) (レス) id: 4ae5dd86b4 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 紅坂紅子さん» ありがとうございます(;;)嬉しい(;;)…更新頑張ります!! (2020年1月27日 7時) (レス) id: 26eda5a043 (このIDを非表示/違反報告)
紅坂紅子(プロフ) - 言葉遣い、好きです。更新楽しみにしてます。 (2020年1月26日 2時) (レス) id: 07a06c2ab3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はな | 作成日時:2020年1月25日 11時

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