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それから鍵を閉めて部屋の一番奥に座り、私は重い口を開いた。


『零が行方不明になってる。』
「...なんの冗談だ?」
『いいから最後まで聞いて。』


それから私は、事の顛末を全て話した。

風見が彼に撃たれたこと
私が彼に首を絞められ殺されかけたこと
公安に彼を殺すように言われていること
工藤夫妻に助けを乞うたこと
工藤新一くんにはそれを隠していること

そして、


『あのバーで夜な夜な会ってるのは、零が何かの拍子で記憶を取り戻さないか、っていう私自身の賭け。』
「なるほど...だからあの顔か。」
『えぇ...というか、なんで気づいたの?あれが私だって。』
「帰国してすぐ、お前の家を張り込んでいた、」
『うわぁ...ないわぁ...』
「仕方ないだろう、直接警視庁に行ったら怒られそうだったから...」
『連絡先教えたでしょう!?』
「君が電話に出ないからだろう。」
『え...かけた?』
「あぁ、何度も。」
『うわぁごめん...それもしかしたら迷惑電話だと思って着拒しちゃってたかも。』
「オイオイ...」
『ていうか、誰もいなかったらどうするつもりだったのよ?』
「朝まで待つつもりだった。」
『うっわ、超迷惑。』
「電話に出ないお前が悪い。」


はぁ、と赤井はやれやれと言わんばかりにため息を着くと、腕を組んで壁にもたれかかる。


「で、その賭けには勝てそうなのか?」
『さぁ...貴方の言葉を借りていえば、50:50って所かしら。』
「ほぉー...?」


短く頷いた彼に、思わず眉を顰める。



実際は50:50なんかじゃない
上手くいく割合なんて、10:90の10だ。

いや、10もあったらいい方か...



『...とりあえず、私を見張るのは良いけど絶対に手は出さないで。いい?』
「彼とは本当に会ってるだけか?」
『...えぇ、悪い?』
「いいや。悪くは無いさ。」


赤井が会議室の鍵を解除し、扉を開ける。


「済まなかったな、乗り込んだりして」
『...いいえ、私も悪かったわ。』


そう言うと、彼は薄く笑ってドアを閉める。
足音が遠くなっていくのを確認し、私は大きくため息をついた。


『会ってるだけか、ねぇ...』


ふ、と笑って椅子から立ち上がる。


私の家を張っていた、か。
赤井らしい...


部屋の電気を落とし、暗い廊下を歩く。

先程の締められた首に触れる。
クソ、容赦なく絞めやがって...


『...ふふ』



あの灰皿、どう処分してやろうか


にやりと口角を上げて、私は未だ騒がしいフロアのドアを開けた。

11.四度目→←*



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キャラメル(プロフ) - めっちゃ面白いです!続きが気になります!!更新頑張ってください^_^ (2020年5月25日 14時) (レス) id: b8ac5a9a04 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - ありがとうございます!更新したので是非よろしくお願いします〜! (2020年3月3日 17時) (レス) id: c49d02c4c7 (このIDを非表示/違反報告)
ココアパウダー(プロフ) - このシリーズほんとに大好きです!更新楽しみです! (2020年3月2日 16時) (レス) id: 4ae5dd86b4 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 紅坂紅子さん» ありがとうございます(;;)嬉しい(;;)…更新頑張ります!! (2020年1月27日 7時) (レス) id: 26eda5a043 (このIDを非表示/違反報告)
紅坂紅子(プロフ) - 言葉遣い、好きです。更新楽しみにしてます。 (2020年1月26日 2時) (レス) id: 07a06c2ab3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はな | 作成日時:2020年1月25日 11時

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