4.険悪 ページ16
「Aさん、本当に...」
『えぇ、今更何を戸惑うの?』
「...いえ、何も。」
会議室のドアの前で、風見が渋りつつドアを開ける。
それもそうだ。
今から行うのは、零を殺すため会議なんだから。
ドアノブを捻ると、がちゃりと音がしてドアが開く。
中にいた公安の捜査員達の視線が、一斉に私に集まった。
1歩踏み出す事にヒールの音が鳴り響く。
その音の度に、私のやっていることが合っているのか不安に思え、本当に憎くなる。
ずらりと並べられたデスクの1番前に座る。
横に座った風見が恐縮そうに肩を縮めていた。
『シャキッとしなさい。』
「でも...」
『怖がることは何もないから。』
まぁ、目の前に上官が皆並んいたら、そうもなるか...
.
.
始まって30分、警察官の志がどうのこうのという長い前置きを経て、会議はようやく本題に入った。
「今回は彼女にやってもらう。」
後ろを振り向き、デスクに座る捜査官達に向き直る。
『やりにくい任務ですが、必ずやり遂げてみせます。支援を何卒よろしくお願いしまーー「異議あり!」
会議室に、突然男の声が響き渡った。
「その人は行方不明の降谷と交際していたんですよね?そんな人間が公平に彼を処分できるとは思えません。」
あれは確か、私と同時期に公安に入った男。
名前は"村田"と言ったか...
『...問題ありません、やれます。』
「ですが. ーー」
「座りたまえ」
上司の低い声が、会議室にこだまする。
「君の意見も一理あるが、彼女には何よりも実績がある。今回は彼女に任せる。」
...場が収まったか。
「いいか、今回の件は機密事項だ。よって、限られた人間しかここには集めていない。それはここにいる皆が最も理解しているだろう。呉々も、外部にはこの事を漏らさないように!特に、マスコミに漏れたら大変な事になる...皆、心して動くように!」
.
『風見、』
捜査員達と話している彼にちょいちょい、と手招きする。
『明日から不規則な勤務になるけど、何かあったらすぐに連絡してね。』
「了解です。」
『躊躇する必要は無いからね、今回は潜入じゃないし...前回同様、電話呼出5コールで切ってね。』
「分かりました。...Aさーー「A!!」
急に呼ばれた元気な声に振り向くと、
『あ...』
「おいA、大丈夫か?」
「A...」
「俺が代わってやろうか?まだ間に合う!」
そこには、公安に入りたての時にお世話になった先輩達の姿があった。
225人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
キャラメル(プロフ) - めっちゃ面白いです!続きが気になります!!更新頑張ってください^_^ (2020年5月25日 14時) (レス) id: b8ac5a9a04 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - ありがとうございます!更新したので是非よろしくお願いします〜! (2020年3月3日 17時) (レス) id: c49d02c4c7 (このIDを非表示/違反報告)
ココアパウダー(プロフ) - このシリーズほんとに大好きです!更新楽しみです! (2020年3月2日 16時) (レス) id: 4ae5dd86b4 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 紅坂紅子さん» ありがとうございます(;;)嬉しい(;;)…更新頑張ります!! (2020年1月27日 7時) (レス) id: 26eda5a043 (このIDを非表示/違反報告)
紅坂紅子(プロフ) - 言葉遣い、好きです。更新楽しみにしてます。 (2020年1月26日 2時) (レス) id: 07a06c2ab3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:はな | 作成日時:2020年1月25日 11時