Code.88 "Scotch" ページ42
「マリー!」
指揮が終わって早々、久々にその名を呼ばれて、思わず振り向く。
私をこの名で呼ぶのは...
『その呼び方、やめてくれない?』
赤「ふっ.....二次会、行くのか?」
『行かないよ。』
赤「じゃぁ、コレ、どうだ?」
そうして彼は、長い指で輪を作ると、くい、と煽るような仕草を見せる。
『...いいね、行こう』
赤「よし、乗れ」
ニヤリと笑ってそう言えば、彼は嬉しそうに口角を上げた。
そうして真っ赤なマスタングに乗った。
相変わらず派手な外車が似合う男だな、と思った。
.
赤「着いたぞ」
『...いや、ここ工藤邸じゃん!!』
赤「そうだが?」
きょとんとした顔の彼に、はぁぁぁ、と大きなため息をつく。あたりはすっかり暗くなっていた。
赤「仕方ないだろう、ここしか場所がないんだから。」
『まぁ、そうか...』
そういったやりとりのあと、中に入る。
随分豪華な玄関だ。
『...誰もいないの?』
赤「あぁ。今日坊やはお嬢さんと東都パークに行くとかなんとか言っていたからな...」
『ふぅん。ねぇ、ベッドどこ?』
赤「ん?2階だが、どうした?」
『いや、髪の毛の1本や2本でも落としていってやろうかと。』
赤「やめてくれ...俺が坊やに叱られる...」
困ったように頭をかく彼に、思わず笑いが込上げる。
なんだ。
可愛いところもあるじゃないか。
赤「今日は、お前とこれを呑みたくてな...」
そうして彼は、机に大きな瓶を置いた。
『ん、なになにーー...これ、』
そうして振り向くと、琥珀色の液体に黄色いラベルのついた瓶が目に入り、絶句する。
"スコッチ"
『...どういうつもり?』
口調が鋭くなってしまう。
赤「あれから飲めなくてな、"コレ"が。お前もだろう?」
『...』
何も言えない。
無言で席につくと、グラスが2つ目の前に置かれる。
『...話を、するの?』
赤「あぁ。」
『景光が、死んだ時の、』
赤「もちろんそのつもりだ。」
やっぱり、
グラスに注がれていく透き通った黄金のそれをじっと見つめる。
いつかは、向き合わなければならないとわかっていた。
でも逃げ続けた。
退院してから1度、警察庁に赤井からの問い合わせがあったと聞いた。もちろん、私も零も潜入を主の活動もする、存在するはずのない"ゼロ"だから、彼の問い合わせは無意味に終わった。
そんな音信不通の中、彼と出会ったのが私だ。
赤井がスコッチが注がれた氷の入ったグラスを差し出す。水面がゆらゆら揺れて光る。
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はな(プロフ) - にぃーさん» ありがとうございます!励みになります(;_;) (2019年11月8日 19時) (レス) id: 7c73f8d369 (このIDを非表示/違反報告)
にぃー - ほんまに早く読みたい!めちゃおもしろいです更新楽しみにしてます! (2019年11月4日 19時) (レス) id: def134aac7 (このIDを非表示/違反報告)
純花 - すごく面白いです!更新頑張ってください! (2019年10月19日 19時) (レス) id: ba5f7bf38b (このIDを非表示/違反報告)
さち - おもしろいです。続きが楽しみです。よろしくお願いします。 (2019年10月19日 16時) (レス) id: c80821aeaf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はな | 作成日時:2019年9月6日 11時